数式で独楽する

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楕円状の鏡 その3

楕円の焦点には次のような性質があります。

楕円状の鏡がある。
一方の焦点から光を発すると、もう一方の焦点に達する。

幾何学的に言い換えると、次のようになります。

楕円上の点Pと焦点F, F'について、線分FP, F'Pはそれぞれ点Pにおける楕円の接線と等しい角をなす。

さらに言い換えると、次のようになります。

楕円上の点Pにおける楕円の接線は、2焦点F, F'と点Pで作る角FPF'の外角の二等分線である。


楕円状の鏡 - 数式で独楽する
では、このことを煩雑な代数計算で導きましたが、本稿では視点を変えて考えていきます。
楕円状の鏡 その2 - 数式で独楽する
とも視点を変えています。

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\begin{equation}
\frac{x^2}{d^2} + \frac{y^2}{d^2 - f^2} =1
\end{equation}で表される楕円において、

  • F$(f, 0)$, F'$(-f, 0)$ : 楕円の焦点
  • PF + PF' = $2d$
  • $f = de$ ($e$ : 離心率)
  • P$(x_0, y_0)$ : 楕円上の任意の点

とします。
楕円の各要素の関係 - 数式で独楽する

点Pにおける接線は、
\begin{equation}
\frac{x_0 x}{d^2} + \frac{y_0 y}{d^2 - f^2} =1
\end{equation}です。
楕円の接線を表す式 - 数式で独楽する

この式で$y=0$とすると長軸との交点の座標を求めることができます。
\begin{equation}
x = \frac{d^2}{x_0}
\end{equation}なので、交点はT \displaystyle \left( \frac{d^2}{x_0}, \ 0 \right)となります。

以上のことから、
\begin{equation}
\frac{\mathrm{FT}}{\mathrm{F'T}}
= \cfrac{\ \cfrac{d^2}{x_0} - f \ }{\cfrac{d^2}{x_0} + f}
= \cfrac{\ \cfrac{d^2}{x_0} - de \ }{\cfrac{d^2}{x_0} + de}
= \frac{d - ex_0}{d + ex_0}
= \frac{\mathrm{PF}}{\mathrm{PF'}}
\end{equation}を得ます。
式変形の最後の部分は
楕円上の点から焦点までの距離 - 数式で独楽する
をご覧ください。

これより、接線PTは角FPF'の外角を二等分することが分かります。
三角形の外角の二等分線による対辺の分割 - 数式で独楽する