等比数列の亜種{n x^n}の極限

数列 $\{ nx^n \} \ (n \in \mathbb{N})$ について
\begin{equation}
\lim_{n \to \infty} nx^n = 0 \quad (|x| < 1)
\end{equation}

一般項が $x^n \ (|x| < 1)$ なる等比数列に $n$ を乗じて作った数列は、0に収束する、というものです。

等差数列と等比数列はどちらが強いのか、という見方もできます。
等比数列の方が強そうですが、見ていきましょう。

$x = 0$ の場合、明らかに成り立ちます。

$x \ne 0$ の場合
\begin{equation}
|x| = \frac{1}{1 +h} \quad (h > 0)
\end{equation}とおきます。
分母の巾乗(冪乗)を二項定理で展開します。そして必要な項を取り出します。
二項定理 - 数式で独楽する
\begin{eqnarray}
(1 +h)^n &=& 1 +nh +\frac{n(n -1)}{2} \, h^2 +\cdots +\frac{n!}{(n -k)! k!} \, h^k +\cdots +nh^{n -1} +h^n \\
&>& \frac{1}{2} \, n(n -1)h^2
\end{eqnarray}
これより、
\begin{equation}
0 < n|x|^n = \frac{n}{(1 +h)^n} < \frac{2n}{n(n -1)h^2} =\cfrac{\cfrac{2}{n}}{\left(1 -\cfrac{1}{n} \right) h^2}
\end{equation}となります。
$n \to \infty$ とすると、右辺は0に収束します。
はさみうちの原理により、
数列の極限その2 はさみうちの原理 - 数式で独楽する
\begin{equation}
\lim_{n \to \infty} n|x|^n = 0
\end{equation}を得ます。

したがって、
\begin{equation}
\lim_{n \to \infty} nx^n = 0
\end{equation}です。