数式で独楽する

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微分を前提としない積分の定式化

高校の教科書では、主要な関数の微分すなわち導関数を求め、その逆の演算として積分すなわち原始関数を求めます。
本稿では、その逆ができないか、考えてみます。


手掛かりは、
定積分 - 数式で独楽する
です。
積分
\begin{equation}
\int_0^x f(t)dt = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n f(t_k) \Delta t \tag{1}
\end{equation}を幾つかの関数について求めてみます。
なお、
\begin{equation}
t_k = \frac{k}{n}x, \quad \Delta t = \frac{x}{n} \tag{2}
\end{equation}です。

定数

まず、 f(t) tによらず一定の場合、
\begin{equation}
f(t) = C (定数)
\end{equation}の場合を考えます。
\begin{equation}
f(t) \equiv C
\end{equation}と書くこともあります。
この場合、式(1), (2)より、
\begin{eqnarray}
\int_0^x f(t)dt &=& \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n C \cdot \frac{x}{n} \\
&=& \lim_{n \to \infty} nC \cdot \frac{x}{n} \\
&=& \lim_{n \to \infty} Cx \\
&=& Cx
\end{eqnarray}
となります。

途中、 C kと無関係なので、
\begin{equation}
\sum_{k=1}^n C = nC
\end{equation}としています。

1次関数

\begin{equation}
f(t) = t
\end{equation}の場合を考えます。
式(1), (2)より、
\begin{eqnarray}
\int_0^x f(t)dt &=& \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n \frac{k}{n}x \cdot \frac{x}{n} \\
&=& \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \left( \sum_{k=1}^n k \right) x \cdot \frac{x}{n} \\
&=& \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \left( \frac{1}{2}n(n +1) \right) x \cdot \frac{x}{n} \\
&=& \lim_{n \to \infty} \frac{1}{2} \frac{n(n +1)}{n^2} x^2 \\
&=& \frac{1}{2} x^2
\end{eqnarray}
となります。

途中、 kと無関係の部分を和の記号の外に出しています。
さらに、
\begin{equation}
\sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2} n(n +1)
\end{equation}を用いています。
自然数の和 - 数式で独楽する

続きます。
微分を前提としない積分の定式化2 - 数式で独楽する