対角化することができます。
行列の対角化 - 数式で独楽する
相異なる固有値と付随する固有ベクトル - 数式で独楽する
なる$n \times n$対称行列が、$n$組の固有値、固有ベクトルをもつものとします。
リンク、エルミート行列の固有値
つまり、
\begin{eqnarray}
A \boldsymbol{v}_k &=& \lambda_k \boldsymbol{v}_k \quad (k=1, 2, \cdots, n) \tag{1} \\
\boldsymbol{v}_k &=&\left( \begin{array}{c} v_{1k} \\ v_{2k} \\ \vdots \\ v_{nk} \end{array} \right)
\end{eqnarray}とします。
固有値・固有ベクトル - 数式で独楽する
式(1)の行ベクトルを横に並べて行列にすると、
\begin{equation}
A (\boldsymbol{v}_1 \ \boldsymbol{v}_2 \ \cdots \ \boldsymbol{v}_n) = (\lambda_1 \boldsymbol{v}_1 \ \lambda_2 \boldsymbol{v}_2 \ \cdots \ \lambda_n \boldsymbol{v}_n) \tag{2}
\end{equation}となります。
式(2)の$(i,j)$成分に着目すると、
\begin{equation}
\sum_{k=1}^n a_{ik} v_{kj} = \lambda_j v_{ij} \tag{3}
\end{equation}です。
式(3)の右辺で積の順序を入れ替えます。
\begin{equation}
\sum_{k=1}^n a_{ik} v_{ki} = v_{ij} \lambda_j \tag{4}
\end{equation}
ここで、
\begin{eqnarray}
P &=& (v_{ij}) = (\boldsymbol{v}_1 \ \boldsymbol{v}_2 \ \cdots \ \boldsymbol{v}_n) \\
\Lambda &=& \left( \begin{array}{cccc}
\lambda_1 &&& 0 \\
& \lambda_2 && \\
&& \ddots & \\
0 &&& \lambda_n
\end{array} \right)
\end{eqnarray}とすると、
\begin{equation}
AP = P \Lambda \tag{5}
\end{equation}となります。
式(5)の共軛転置をとると、
\begin{eqnarray}
(AP)^* &=& P^* A^* \\
(P \Lambda)^* &=& \Lambda^* P^* \\
A^* &=& A \\
\Lambda^* &=& \Lambda \quad \left( \because \overline{\lambda_k}= \lambda_k \ k=1,2, \cdots n) \right)
\end{eqnarray}なので、
\begin{equation}
P^* A = \Lambda P^* \tag{6}
\end{equation}となります。
式(5)の両辺に左から$P^*$を掛けます。
\begin{equation}
P^* AP = P^* P \Lambda \tag{7}
\end{equation}
式(6)の両辺に右から$P$を掛けます。
\begin{equation}
P^* AP = \Lambda P^* P \tag{8}
\end{equation}
式(7), (8)より、
\begin{equation}
P^* P \Lambda = \Lambda P^* P \tag{9}
\end{equation}を得ます。
ここで、式(9)の$(i,j)$成分に着目します。
\begin{eqnarray}
(P^* P \Lambda)_{ij} &=& \sum_{k=1}^n (P^* P)_{ik} (\Lambda)_{kj} &=& \lambda_j (P^* P)_{ij} \\
(\Lambda P^* P)_{ij} &=& \sum_{k=1}^n (\Lambda)_{ik} (P^* P)_{kj} &=& \lambda_i (P^* P)_{ij}
\end{eqnarray}すなわち、
\begin{equation}
\lambda_j (P^* P)_{ij} = \lambda_i (P^* P)_{ij} \tag{10}
\end{equation}を得ます。
式(10)においての場合、前提でなので、
\begin{equation}
(P^* P)_{ij} = {\boldsymbol{v}_i}^* \boldsymbol{v}_j = 0 \tag{11}
\end{equation}となります。
一方、の場合、は任意なので、
\begin{equation}
(P^* P)_{ii} = {\boldsymbol{v}_i}^* \boldsymbol{v}_i = 1 \tag{12}
\end{equation}とすることができます。
式(11), (12)により、
\begin{equation}
P^* P = I
\end{equation}すなわちはユニタリ行列となります。
つまり、エルミート行列$A$は、ユニタリ行列にて対角化が可能であることが分かります。