行列によって定まる平面の1次変換をとする。原点以外のある点PがによってP自身に移されるならば、原点を通らない直線であって、のどの点もによっての点に移されるようなものが存在することを証明せよ。
解答例
設問で与えられた条件から、とすると
\begin{equation}
A \boldsymbol{u} = \boldsymbol{u} \tag{1}
\end{equation}が成り立ちます。
また、
\begin{equation}
A \boldsymbol{v} = \lambda \boldsymbol{v} \tag{2}
\end{equation}を満たすベクトルと実数が存在します。
さて、平面上の任意のベクトルは、定数を用いて
\begin{equation}
\boldsymbol{x} = s \, \boldsymbol{u} +t \, \boldsymbol{v} \tag{3}
\end{equation}と表すことができます。
なる点Aを通り、方向ベクトルがである直線を上とすると、式(3)は点Xが直線上にあることを表しています。
特にであれば、直線は原点を通りません。
1次変換によるXので写像をX'とします。すなわち
\begin{equation}
\overrightarrow{\mathrm{OX'}} = f \left( \overrightarrow{\mathrm{OX}} \right) = f(\boldsymbol{x}) = A\boldsymbol{x}
\end{equation}とします。
式(1)~(3)より、
\begin{eqnarray}
f(\boldsymbol{x}) &=& A\boldsymbol{x} \\
&=& A(s \, \boldsymbol{u} +t \, \boldsymbol{v}) \\
&=& s \, A(\boldsymbol{u}) +t \, A(\boldsymbol{v}) \\
&=& s \, \boldsymbol{u} +t \lambda \, \boldsymbol{v} \tag{4}
\end{eqnarray}を得ます。
式(4)は、上の点Xが、再び上の点X'に移されることを意味します。
よって題意は証明されました。
解説
原点以外の不動点があるので、行列は固有値1の固有ベクトルを持ちます。このことから原点を通らない不動直線が存在することを示しています。
平面上の一次変換の不動直線の分類 - 数式で独楽する
平面上の一次変換の不動直線の分類~固有値2つの場合 - 数式で独楽する
平面上の一次変換の不動直線の分類~固有値1つの場合 - 数式で独楽する