を実数とする。2次の正方行列と2次の単位行列に対して、集合をとする。このとき次の条件(*)が成立するための、についての必要十分条件を求めよ。
(*) の要素は零行列でなければ逆行列をもつ
解答例
を実数とします。
の場合、
\begin{equation}
B = (r +st) \, E
\end{equation}です。
ならは逆行列を持ち、
\begin{equation}
B^{-1} = \frac{1}{r +st} \, E
\end{equation}です。
したがって、についての条件は、
\begin{equation}
a = d \ \mbox{かつ} \ b = c = 0
\end{equation}です。
の場合、でなければは零行列になりません。
逆行列を持つ条件は、
\begin{eqnarray}
\det (rE +sA) &=& (r +sa)(r +sd) - sb \cdot sc \\
&=& r^2 +(a +d) sr +s^2 (ad -bc) \ne 0
\end{eqnarray}です。
が実数解を持たない条件を求めることになります。つまり、
\begin{equation}
D = (a +d)^2 s^2 -4s^2 (ad -bc) < 0
\end{equation}です。
なので、
\begin{eqnarray}
(a +d)^2 -4(ad -bc) &<& 0 \\
\therefore \quad (a -d)^2 +4bc &<& 0
\end{eqnarray}を得ます。
以上より、(*)が成立する条件は、
\begin{equation}
a = d \ \mbox{かつ} \ b = c = 0
\end{equation}または
\begin{equation}
(a -d)^2 +4bc < 0
\end{equation}となります。