開平機能のない、つまり[ ]ボタンのない電卓でも、次の手順で平方根を求めることができます。
本稿では、
[ ]で括ったものはボタンを押すことを、
括らないものは数字ボタンを押すことを意味します。
カシオの電卓の場合
[AC][MC][M+]
[÷][MR][=][M+][MR][÷]2[=][MC][M+]
[÷][MR][=][M+][MR][÷]2[=][MC][M+]
(繰り返し)
[÷][MR][=][M+][MR][÷]2[=]
(値が変わらなくなれば終了)
初期値
キヤノンの電卓の場合
[CA][M+]
[÷][RM/CM][=][M+=][RM/CM][RM/CM][÷]2[=][M+=]
[÷][RM/CM][=][M+=][RM/CM][RM/CM][÷]2[=][M+=]
(繰り返し)
[÷][RM/CM][=][M+=][RM/CM][RM/CM][÷]2[=]
(値が変わらなくなれば終了)
検証はLS-101Tで行いました。
[RM/CM]ボタンは、
1回押すとメモリを呼び出し、
2回連続で押すとメモリを消去します。
解説
ニュートン法を用いています。考え方は次の通りです。
ニュートン法 - 数式で独楽する
方程式の解を求めるに当たり、次のような手順を踏んでいきます。
手順1
座標平面(平面上)にのグラフを描きます。
手順2
解の近傍に点Pを定めます。
電卓操作手順1行目の[AC][MC][M+]の部分です。
手順3
点Pでの接線を引きます。
接線の方程式は、
\begin{equation}
y - {x_0}^2 +a =2x_0(x - x_0) \tag{1}
\end{equation}です。
手順4
接線と軸の交点を求めます。式(1)でとします。
\begin{equation}
-{x_0}^2 + a = 2x_0(x_1 - x_0)
\end{equation}これより
\begin{eqnarray}
x_1 &=& x_0 - \frac{{x_0}^2-a}{2x_0} \\
&=& \frac{1}{2} \left( x_0 + \frac{a}{x_0} \right) \tag{2}
\end{eqnarray}
となります。
ボタンとの対応は次の通りです。
電卓操作手順の2行目
[÷][MR][=]で
\begin{equation}
\frac{a}{x_0}
\end{equation}を計算しています。
メモリにが入っているので、次の[M+]で
\begin{equation}
x_0 + \frac{a}{x_0}
\end{equation}を計算し、[MR]で値を表示します。
[÷]2[=]とすれば
\begin{equation}
\frac{1}{2} \left( x_0 + \frac{a}{x_0} \right)
\end{equation}を求めることができます。
[MC]で一旦メモリを消去し、
[M+]でを記憶させます。
手順5
新しい点Pをと定め、手順3, 4を繰り返します。
点Pは、解にだんだんと近付いていきます。
所期の精度が得られれば、計算を打ち切ります。
電卓操作手順の3行目以降に対応します。
以上のように、開平機能のない電卓で、平方根を求めることが可能です。