空間内の平面上にある円および円板を考える。を底面とし点P(0, 0, 1)を頂点とする円錐をとする。A(0, -1, 0), B(0, 1, 0)とする。空間内の平面を考える。すなわち、は平面上の直線と線分ABをともに含む平面である。の側面との交わりとしてできる曲線をとする。を満たす実数に対し、円上の点Qをとり、線分PQとの交点をRとする。
(1) 線分PRの長さをとおく。をを用いて表せ。
(2) 円錐の側面のうち、曲線の点Aから点Rまでを含む部分、線分PA、および線分PRにより囲まれた部分の面積をとおく。と実数が条件を満たすとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
\begin{equation}
\frac{h \{ r(\theta) \}^2}{2\sqrt{2}} \leqq S(\theta +h) -S(\theta) \leqq \frac{h \{ r(\theta +h) \}^2}{2\sqrt{2}}
\end{equation}(3) 円錐の側面のうち、円のの部分と曲線により囲まれた部分の面積をとおく。を求めよ。必要であればとおく置換積分を用いてもよい。
小問(1)の解答例
小問(3)の解答例
小問(2)の不等式の各辺をで割り、とすると、
\begin{eqnarray}
S'(\theta) &=& \frac{\{ r(\theta) \}^2}{2\sqrt{2}} \\
&=& \frac{1}{\sqrt{2} (1 +\cos \theta)^2}
\end{eqnarray}を得ます。
関数の極限 はさみうちの原理 - 数式で独楽する
微分について - 数式で独楽する
したがって、円錐の側面のうち、線分PA, PBおよび曲線に囲まれた部分の面積は、
\begin{eqnarray}
S \left( \frac{\pi}{2} \right) &=& 2\int_0^{\pi/2} S'(\theta) \, d\theta \\
&=& \sqrt{2} \int_0^{\pi/2} \frac{d\theta}{(1 +\cos \theta)^2}
\end{eqnarray}となります。
求める面積は、円錐の側面の面積の半分よりこの部分の面積を除いたものとなります。
さて、
\begin{equation}
\tan \frac{\theta}{2} = u
\end{equation}とおくと、
\begin{equation}
\tan^2 \frac{\theta}{2} = \frac{1 -\cos \theta}{1 +\cos \theta} = u^2
\end{equation}より
\begin{eqnarray}
\cos \theta &=& \frac{1 -u^2}{1 +u^2} \\
1 +\cos \theta &=& \frac{2}{1 +u^2} \\
\frac{1}{(1 +\cos \theta)^2} &=& \frac{(1 +u^2)^2}{4} \\
\end{eqnarray}を得ます。
また、
\begin{equation}
\frac{1}{2} \left( 1 +\tan^2 \frac{\theta}{2} \right) d\theta = du
\end{equation}より
\begin{equation}
d\theta = \frac{2du}{1 +u^2}
\end{equation}を得ます。
さらに、積分区間の対応は次の通りです。
\begin{array}{|c|ccc|}
\hline
\theta & 0 & \to & \pi/2 \\ \hline
u & 0 & \to & 1 \\ \hline
\end{array}
定積分の置換積分 - 数式で独楽する
半角の公式 - 数式で独楽する
したがって、
\begin{eqnarray}
S\left( \frac{\pi}{2} \right) &=& \sqrt{2} \int_0^1 \frac{1}{2} (1 +u^2) \, du \\
&=& \frac{1}{\sqrt{2}} \left[ u +\frac{1}{3} \, u^3 \right]_0^1 \\
&=& \frac{1}{\sqrt{2}} \cdot \frac{4}{3} \\
&=& \frac{2\sqrt{2}}{3}
\end{eqnarray}となります。
一方、円錐の側面のの部分を展開したものは、半径、弧長、中心角の扇形なので、その面積は
\begin{equation}
\frac{1}{2} \left( \sqrt{2} \right)^2 \frac{\pi}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2} \, \pi
\end{equation}となります。
よって、求める面積は、
\begin{eqnarray}
T &=& \frac{\sqrt{2}}{2} \, \pi -S \left( \frac{\pi}{2} \right) \\
&=& \frac{\sqrt{2}}{2} \, \pi -\frac{2\sqrt{2}}{3} \\
&=& \left( \frac{\pi}{2} -\frac{2}{3} \right) \sqrt{2}
\end{eqnarray}です。