数式で独楽する

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ユニタリ行列 その2

ユニタリ行列

随伴行列が元の行列の逆行列となる行列を、「ユニタリ行列」といいます。
転置行列と随伴行列 - 数式で独楽する
共軛複素数 - 数式で独楽する
共軛複素数 その2 - 数式で独楽する
直交行列の複素数版です。
直交行列 - 数式で独楽する
ユニタリ行列 - 数式で独楽する

行列 A=(a_{ij})がユニタリ行列の場合、
\begin{equation}
A^* = A^{-1}
\end{equation}を満たします。
書き換えると、
\begin{eqnarray}
A^* A &=& I \tag{1}\\
AA^* &=& I \tag{2}
\end{eqnarray}です。$I$は単位行列です。

本稿では式(2)について解説します。
行列$A$を
\begin{equation}
A = \left( \begin{array}{c} \boldsymbol{a}_1 \\ \boldsymbol{a}_2 \\ \vdots \\ \boldsymbol{a}_n \end{array} \right)
\end{equation}とします。各 \boldsymbol{a}_iは成分を横に並べた行ベクトルで、それを縦に並べて行列にしています。
随伴行列は、
\begin{equation}
A^* = ({\boldsymbol{a}_1}^* \ {\boldsymbol{a}_2}^* \ \cdots \ {\boldsymbol{a}_n}^* )
\end{equation}です。各 {\boldsymbol{a}_i}^*は成分を縦に並べた列ベクトルです。

式(2)は、
\begin{equation}
AA^* = \left( \begin{array}{c} \boldsymbol{a}_1 \\ \boldsymbol{a}_2 \\ \vdots \\ \boldsymbol{a}_n \end{array} \right)
({\boldsymbol{a}_1}^* \ {\boldsymbol{a}_2}^* \ \cdots \ {\boldsymbol{a}_n}^*)
= \left( \begin{array}{cccc}
1 &&& 0 \\
& 1 && \\
&& \ddots & \\
0 &&& 1
\end{array} \right) \tag{3}
\end{equation}と書けます。

式(3)の成分を比較すると、
\begin{equation}
\boldsymbol{a}_i {\boldsymbol{a}_j}^t =\delta_{ij} = \left \{ \begin{array}{cc}
1 & (i=j) \\
0 & (i \ne j)
\end{array} \right. \tag{3}
\end{equation}です。
式の左辺は、

  • ベクトル \boldsymbol{a}_i, \boldsymbol{a}_j内積であり、
  • 大きさは1
  • 互いに直交する

ことを示しています。

式(1)については説明済みです。
ユニタリ行列 - 数式で独楽する

補足

式(3)の左辺について説明します。
\begin{equation}
\boldsymbol{u} = (u_1 \ u_2 \ \cdots \ u_n) , \quad
\boldsymbol{v} = (v_1 \ v_2 \ \cdots \ v_n)
\end{equation}なる列ベクトルに対し、
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{u} {\boldsymbol{v}}^* &=& (u_1 \ u_2 \ \cdots \ u_n)
\left( \begin{array}{c} \overline{v_1} \\ \overline{v_2} \\ \vdots \\ \overline{v_n} \end{array} \right) \\
&=& u_1 \overline{v_1} + u_2 \overline{v_2} + \cdots + u_n \overline{v_n}
\end{eqnarray}となります。これは、ベクトルの内積そのものです。