数式で独楽する

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逆、裏、対偶

命題「 pならば q」を考えます。

\begin{equation}
p \longrightarrow q
\end{equation}と書きます。この書き方を「条件式」といいます。

この命題が真*1である場合に、次の命題の真偽を考えていきます。
\begin{eqnarray}
q &\longrightarrow& p \\
\bar{p} &\longrightarrow& \bar{q} \\
\bar{q} &\longrightarrow& \bar{p}
\end{eqnarray}

なお、頭の横棒 \bar{}は、命題の否定を表します。
命題 \bar{p}は、「 pではない」ことを表します。
上に掲げた条件式はそれぞれ

  1.  qならば p
  2.  pではないならば qではない
  3.  qではないならば pではない

という意味です。
それぞれ呼称があります。元の命題 p \longrightarrow qに対して

  1. 対偶

といいます。

さて、元の命題 p \longrightarrow qが真である状況を図にすると、次のようになります。*2
命題 pを満たしていれば、もれなく命題 qを満たしています。
命題 pは、命題 qに包括されています。
f:id:toy1972:20210301223458p:plain:w250

 pならば qである」 p \longrightarrow qに対し、
 qならば pである」
\begin{equation}
q \longrightarrow p
\end{equation}なる命題を「逆」といいます。
図を見ると、 qを満たすが pを満たさない領域があることが分かります。
つまり、逆は必ずしも真であるとは言えないということです。

なお、逆の逆は元の命題です。

 pではないならば qでない」
\begin{equation}
\bar{p} \longrightarrow \bar{q}
\end{equation}なる命題を「裏」といいます。
図を見ると、 pは成り立たないが qは成り立つ領域があることが分かります。
つまり、裏も必ずしも真ではないということです。

なお、裏の裏は元の命題です。

対偶

 qでないならば pでない」
\begin{equation}
\bar{q} \longrightarrow \bar{p}
\end{equation}なる命題を「対偶」といいます。
図も見ると、命題 qを満たしていない状況は、もれなく命題 pも満たしていない状況になっています。
したがって、元の命題が真であるならば、その対偶も必ず真であることが言えるのです。

なお、

  • 対偶の対偶は元の命題
  • 逆と裏は互いに対偶
  • 裏と対偶は互いに逆
  • 逆と対偶は互いに裏

の関係にあります。

*1:英語ではtrueです。真の対義語は偽(false)です。

*2:このような図を「ベン図」といいます。