Oを原点とする空間において、点Pと点Qは次の条件(a), (b), (c)を満たしている。
点Pと点Qが条件(a), (b), (c)を満たしながら動くとき、線分PQが通過してできる立体の体積を求めよ。(a) 点Pは軸上にある。
(b) 点Qは平面上にある。
(c) 線分OPと線分OQの長さの和は1である。
解答例
条件(b)により、当該立体は
- 点Qを軸上に限定して2点P, Qを動かしたときに線分PQが通過してできる図形、つまり包絡線を、
- 軸周りに回転させて得られる立体
です。
以下、平面で、とし、P, Qとします。
PQを表す式は
\begin{equation}
\frac{x}{p} +\frac{y}{1 -p} = 1 \tag{1}
\end{equation}です。
なお、
- のときは
- のときは
です。
式(1)を満たす実数が存在する条件を求めます。
分母を払って
\begin{equation}
(1 -p)x +py = p(1 -p)
\end{equation}とすればとできます。さらに変形します。
\begin{equation}
p^2 -(x -y +1)p +x = 0
\end{equation}これが解を持つ条件は、判別式について
\begin{equation}
D = (x -y +1)^2 -4x \geqq 0 \tag{2}
\end{equation}です。
\begin{eqnarray}
0 & \leqq & x & \leqq & 1 \\
0 & \leqq & y & \leqq & 1
\end{eqnarray}であることを踏まえて式(2)を変形していきます。
\begin{equation}
\left( x -y +1 +2\sqrt{x} \right) \left( x -y +1 -2\sqrt{x} \right) \geqq 0
\end{equation}さらに
\begin{equation}
\left( \sqrt{x} +1 +\sqrt{y} \right) \left( \sqrt{x} +1 -\sqrt{y} \right) \left( \sqrt{x} -1 +\sqrt{y} \right) \left( \sqrt{x} -1 -\sqrt{y} \right) \geqq 0 \tag{3}
\end{equation}を得ます。
式(3)の左辺の第1項、第2項は正、第4項の負なので、
\begin{equation}
\sqrt{x} +\sqrt{y} \leqq 1 \tag{4}
\end{equation}となります。
図形の対称性により、線分の動く範囲は
\begin{equation}
\sqrt{|x|} +\sqrt{|y|} \leqq 1 \tag{5}
\end{equation}となります。
軸、軸に関する対称性から、求める立体の体積は、
\begin{eqnarray}
V &=& 2\pi \int_0^1 y^2 dx \\
&=& 2\pi \int_0^1 \left( 1 -\sqrt{x} \right)^4 dx \\
&=& 2\pi \int_0^1 \left( 1 -4x^{1/2} +6x -4x^{3/2} +x^2 \right) dx \\
&=& 2\pi \left[ x -\frac{8}{3} \, x^{3/2} +2x^2 -\frac{8}{5} \, x^{5/2} +\frac{1}{3} \, x^3 \right]_0^1 \\
&=& 2\pi \left( 1 -\frac{8}{3} +3 -\frac{8}{5} +\frac{1}{3} \right) \\
&=& \frac{2}{15} \, \pi
\end{eqnarray}となります。
解説
条件を見ると、求める立体は何かの回転体であることは分かります。
ということは、条件を満たす線分の包絡線を求めることになります。
本稿では、線分が通過する領域を求めていますが、式(1)を満たすが存在するための条件を求めることになります。
包絡線を求めてしまえば、回転体の体積を求めるのは習いある手筋です。
ちなみに、式(2), (5)を比較すると図のようになります。