を実数として行列をと定める。とし、数列を次の式で定める。
\begin{equation}
\left( \begin{array}{c} x_n \\ y_n \end{array} \right) = A \left( \begin{array}{c} x_{n -1} \\ y_{n -1} \end{array} \right), \quad n = 1, 2, \cdots
\end{equation}このとき、数列が収束するためのの必要十分条件を求めよ。
解答例
与式より、
\begin{eqnarray}
x_n &=& a \, x_{n -1} +(1 -a) \, y_{n -1} \tag{1} \\
y_n &=& (1 -a)\, x_{n -1} +a \, y_{n -1} \tag{2}
\end{eqnarray}が成り立ちます。
式(1), (2)を辺々相加えると、
\begin{eqnarray}
x_n +y_n &=& x_{n -1} +y_{n -1} \\
& \vdots & \\
&=& x_0 +y_0 = 1
\end{eqnarray}を得ます。
これを式(1)に代入すると、
\begin{eqnarray}
x_n &=& a \, x_{n -1} +(1 -a)(1 -x_{n -1}) \\
&=& (2a -1) \, x_{n -1} -a +1
\end{eqnarray}となります。
これより、
\begin{equation}
x_n -\frac{1}{2} = (2a -1) \left( x_{n -1} -\frac{1}{2} \right)
\end{equation}なので
\begin{eqnarray}
x_n &=& (2a -1)^n \left( x_0 -\frac{1}{2} \right) \\
&=& (2a -1)^n \cdot \frac{1}{2}
\end{eqnarray}となります。
よって、
\begin{equation}
x_n = \frac{(2a -1)^n +1}{2}
\end{equation}を得ます。
よって、数列が収束する必要十分条件は、
\begin{eqnarray}
&& -1 < 2a -1 \leqq 1 \\
& \Leftrightarrow & 0 < 2a \leqq 2 \\
& \Leftrightarrow & 0 < a \leqq 1
\end{eqnarray}となります。
解説
数列の漸化式が行列で記述されているので、連立の漸化式として解いています。解いていく過程が意外と簡単になっています。
一般項を出してしまえば、収束条件を求めるのも容易です。
別解がありますが、こちらの方がよほど簡単です。
数列の出し方は
2006年後期 京大 理系 第2問 別解 - 数式で独楽する
のようにもできます。