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2001年前期 京大 理系 第5問

 pを2以上の整数とする。2以上の整数 nに対し、次の条件(イ)、(ロ)を満たす複素数の組 (z_1, z_2, \cdots, z_n)の個数を a_nとする。

(イ)  k =1,2, \cdots, nに対し、 {z_k}^p = 1かつ z_k \ne 1

(ロ)  z_1 z_2 \cdots z_n = 1

このとき、次の問いに答えよ。

(1)  a_3を求めよ。

(2)  a_{n +2} a_n, \ a_{n +1}の一方または両方を用いて表せ。

(3)  a_nを求めよ。

小問(1)の解答例

 n = 2の場合、(イ)より、
\begin{eqnarray}
z_1 &=& \exp \left( \frac{2\pi i}{p} \, q_1 \right) \quad (1 \leqq q_1 \leqq p -1) \\
z_2 &=& \exp \left( \frac{2\pi i}{p} \, q_2 \right) \quad (1 \leqq q_2 \leqq p -1)
\end{eqnarray}とします。
すると(ロ)より
\begin{equation}
z_1 z_2 = \exp \left[ \frac{2\pi i}{p} \, (q_1 +q_2) \right] = 1
\end{equation}なので、自然数 lを用いて
\begin{equation}
q_1 +q_2 = lp
\end{equation}が成り立ちます。
一方、
\begin{equation}
2 \leqq q_1 +q_2 \leqq 2p -2
\end{equation}なので、
\begin{equation}
l = 1
\end{equation}です。
したがって、

  •  q_1の選び方 p -1通りに対し、
  •  q_2の選び方は1通り

となります。
よって
\begin{equation}
a_2 = p -1
\end{equation}です。

 n = 3の場合、同様に(イ)より、
\begin{eqnarray}
z_1 &=& \exp \left( \frac{2\pi i}{p} \, q_1 \right) \quad (1 \leqq q_1 \leqq p -1) \\
z_2 &=& \exp \left( \frac{2\pi i}{p} \, q_2 \right) \quad (1 \leqq q_2 \leqq p -1) \\
z_3 &=& \exp \left( \frac{2\pi i}{p} \, q_3 \right) \quad (1 \leqq q_3 \leqq p -1) \end{eqnarray}とします。
すると(ロ)より
\begin{equation}
q_1 +q_2 +q_3 = lp
\end{equation}が成り立ちます。
また、
\begin{equation}
3 \leqq q_1 +q_2 +q_3 \leqq 3p -3
\end{equation}なので、
\begin{equation}
l \leqq 2
\end{equation}となります。
したがって、

  •  q_1, q_2の選び方はそれぞれ p -1通り
  •  q_3の選び方は1通り

です。ただし
\begin{equation}
q_1 +q_2 = lp
\end{equation}の場合は省かれます。
よって
\begin{eqnarray}
a_3 &=& (p -1)^2 -(p -1) \\
&=& (p -1)(p -2)
\end{eqnarray}となります。

小問(2)の解答例

小問(1)と同様に、 n +2個の場合、
\begin{eqnarray}
z_k &=& \exp \left( \frac{2\pi i}{p} \, q_k \right) \\
k &=& 1,2, \cdots, n +2 \\
1 &\leqq & q_k \leqq p -1
\end{eqnarray}とすると、
\begin{equation}
q_1 +q_2 +\cdots +q_{n +2} = lp
\end{equation}です。
また、
\begin{equation}
n +2 \leqq q_1 +q_2 +\cdots +q_{n +2} \leqq (n +2)(p -1)
\end{equation}なので
\begin{equation}
l \leqq n +1
\end{equation}です。
したがって、

  •  q_1, q_2, \cdots , q_{n +1}の選び方はそれぞれ p -1通り
  •  q_{n +2}の選び方は1通り

です。ただし
\begin{equation}
q_1 +q_2 +\cdots +q_{n +1} = lp
\end{equation}となる場合を除きます。
よって、
\begin{equation}
a_{n +2} = (p -1)^{n +1} -a_{n +1}
\end{equation}を得ます。

小問(3)の解答例

小問(2)の結果より、
\begin{equation}
a_n = (p -1)^{n -1} -a_{n -1}
\end{equation}です。
これより、
\begin{eqnarray}
a_n -\frac{1}{p} \, (p -1)^n &=& -a_{n -1} +\frac{1}{p} \, (p -1)^{n -1} \\
& \vdots & \\
&=& (-1)^{n -2} \left \{ a_2 -\frac{1}{p} \, (p -1)^2 \right \} \\
&=& (-1)^n \left \{ p -1 -\frac{1}{p} \, (p -1)^2 \right \} \\
&=& (-1)^n (p -1) \left( 1 -\frac{p -1}{p} \right) \\
&=& (-1)^n \frac{1}{p} \, (p -1)
\end{eqnarray}となります。

よって、
\begin{equation}
a_n = \frac{1}{p} \left \{ (p -1)^n +(-1)^n (p -1) \right \}
\end{equation}を得ます。

解説

小問(1)は n = 3の場合を求めよとのことですが、 n = 2の場合から求めるよりなさそうです。これが小問(2)の誘導になっています。
小問(3)の漸化式を解くくだりですが、 (p -1)^{n -1}を強引に n n -1に分けています。