数式で独楽する

数式を使って楽しむブログです

[tex: ]

垂心の存在の証明

三角形の各頂点から対辺に垂線を下ろすと、3垂線は1点Hで交わる。
(垂心の存在)
f:id:toy1972:20190814112148g:plain:w200

ある直線に対し垂直な直線を垂線といいます。
直線l上にない点Pを通る直線lの垂線を引くとき、「垂線を下ろす」と表現することがあります。
直線l上の点を通る直線lの垂線を引くとき、「垂線を立てる」と表現することがあります。
垂線と元の直線の交点を、「足」といいます。

3本の垂線が1点で交わることは、チェバの定理の逆で証明できます。

では、証明にいきます。
頂点A, B, Cより対辺BC, CA, ABに向かって垂線を下ろし、足をそれぞれP, Q, Rとします。
また辺BC, CA, ABの長さをそれぞれa, b, cとします。
このとき、
\begin{eqnarray}
\mathrm{BP} = c \cos B, \qquad & \mathrm{C Q} = a \cos C, \qquad \mathrm{AR} = b \cos A, \\
\mathrm{PC} = b \cos C, \qquad & \mathrm{QA} = c \cos A, \qquad \mathrm{RB} = a \cos B
\end{eqnarray}
です。

これより、
\begin{eqnarray}
\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \frac{\mathrm{C Q}}{\mathrm{QA}}\frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} &=& \frac{c \cos B}{b \cos C} \frac{a \cos C}{c \cos A} \frac{b \cos A}{a \cos B} \\
&=& 1
\end{eqnarray}
となります。
チェバの定理の逆により、
3垂線AP, BQ, CRは1点Hで交わります。