数式で独楽する

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2005年後期 京大 理系 第6問

 n枚の100円玉と n+1枚の500円玉を同時に投げたとき、表の出た100円玉の枚数より表の出た500円玉の枚数の方が多い確率を求めよ。

解答例

表の出た100円玉が k枚の場合 (0 \leqq k \leqq n)、表の出た500円玉が k +1, \ k +2, \ \cdots , \ n +1枚であれば条件に合致します。
その場合の数は、
\begin{eqnarray}
&& {}_n C_k \left( {}_{n +1} C_{k +1} +{}_{n +1} C_{k +2} + \cdots +{}_{n +1} C_n +{}_{n +1} C_{n +1} \right) \\
&& = {}_n C_k \sum_{l = k +1}^{n +1} {}_{n +1} C_l
\end{eqnarray}です。
したがって、条件に合致する場合の総数は
\begin{equation}
\sum_{k = 0}^n \left( {}_n C_k \sum_{l = k +1}^{n +1} {}_{n +1} C_l \right)
\end{equation}となります。

一方、表が出た100円玉が n -k枚の場合、条件に合致するのは
\begin{eqnarray}
&& {}_n C_{n -k} \left( {}_{n +1} C_{n -k +1} +{}_{n +1} C_{n -k +2} + \cdots +{}_{n +1} C_n +{}_{n +1} C_{n +1} \right) \\
&& = {}_n C_k \left( {}_{n +1} C_k +{}_{n +1} C_{k -1} + \cdots +{}_{n +1} C_1 +{}_{n +1} C_0 \right)
\end{eqnarray}通りです。
二項係数の対称性 - 数式で独楽する

表が出た100円玉が k枚と n -k枚の場合で条件に合致する場合の数の合計は、
\begin{eqnarray}
&& {}_n C_k ({}_{n +1} C_0 +{}_{n +1} C_1 +\cdots +{}_{n +1} C_k +{}_{n +1} C_{k +1} +\cdots +{}_{n +1} C_n +{}_{n +1} C_{n +1}) \\
&& = {}_n C_k \cdot 2^{n +1}
\end{eqnarray}となります。
二項係数の和 - 数式で独楽する

ここで、 k = 0, 1, \cdots , nとして和をとります。すると全ての場合が重複することになります。したがって、求める場合の数は
\begin{equation}
\frac{1}{2} \sum_{k = 0}^n {}_n C_k \cdot 2^{n +1} = 2^{n -1} \cdot 2^{n +1} = 2^{2n}
\end{equation}となります。

さて、全ての場合の数は
\begin{equation}
2^n \cdot 2^{n +1} = 2^{2n +1}
\end{equation}です。
よって、求める確率は
\begin{equation}
\frac{2^{2n}}{2^{2n +1}} = \frac{1}{2}
\end{equation}です。

解説

  • (確率) = (該当する場合の数) ÷ (全体の数)

に立ち返ります。
表が出た枚数を定めればその場合の数は二項係数となります。表の枚数は100円玉よりも500円玉の方が多いので、和をとる処理が必要になります。
その際、二項係数の性質を利用すると、厳つい二項係数はほどけていきます。