数式で独楽する

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2003年後期 京大 文系 第5問(1)

 nを2以上の自然数とする。複素数 z z \ne 1 , \ z^n = 1をみたすとき、 1 +2z +3z^2 +\cdots +nz^{n -1}は次の(ア)から(キ)のどれと等しくなるか。根拠を示して1つ選べ。

(ア) 0

(イ)  n(z +1)

(ウ)  n(z -1)

(エ)  \displaystyle \frac{n}{z -1}

(オ)  \displaystyle \frac{n}{(z -1)^2}

(カ)  \displaystyle -\frac{2n}{(z -1)^2}

(キ)  1 -z -n

解答例

 x \ne 1に対し、
\begin{equation}
f(x) = 1 +x +x^2 +\cdots +x^n = \frac{x^{n +1} -1}{x -1}
\end{equation}を定めます。
等比数列の和と等比級数 - 数式で独楽する

導関数
\begin{eqnarray}
f'(x) &=& 1 +2x +3x^2 +\cdots +nx^{n -1} \\
&=& \frac{(n +1)x^n (x -1) -(x^{n -1} -1)}{(x -1)^2} \\
&=& \frac{nx^{n +1} -(n +1)x^n +1}{(x -1)^2}
\end{eqnarray}です。
商の微分 - 数式で独楽する

 z^n = 1, \ z \ne 1のとき、
\begin{eqnarray}
f'(z) &=& 1 +2z +3z^2 +\cdots +nz^{n -1} \\
&=& \frac{nz^{n +1} -(n +1)z^n +1}{(z -1)^2} \\
&=& \frac{nz -n}{(z -1)^2} \\
&=& \frac{n}{z -1}
\end{eqnarray}を得ます。
よって、解答は(エ)です。

2003年後期 京大 文系 第5問(2) - 数式で独楽する

解説

件の式は、等比数列の和を公比で微分したものです。
そのことに気が付けば易しい問題です。