数式で独楽する

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2003年後期 京大 理系 第2問

一辺の長さが1の正三角形ABCの辺AC上に点Dをとり、線分BDに沿ってこの三角形を折り曲げ、4点A, B, C, Dを頂点とする四面体を作り、その体積を最大にすることを考える。体積が最大となるときのDの位置と、そのときの四面体の体積を求めよ。

解答例

線分BDに沿って正三角形を折り曲げて四面体ABCDを作るとき、体積が最大となるのは、面ABDとBCDが垂直となる場合です。
 \angle \mathrm{ABD} =\thetaとすると、正弦定理により、
正弦定理 - 数式で独楽する
\begin{equation}
\frac{\mathrm{DA}}{\sin \theta} = \cfrac{\mathrm{AB}}{\sin \left( \cfrac{\pi}{3} +\theta \right)} = \cfrac{\mathrm{BD}}{\sin \cfrac{\pi}{3}}
\end{equation}が成り立ちます。

AB=1なので、
\begin{equation}
\mathrm{BD} = \cfrac{\sqrt{3}}{2\sin \left( \theta +\cfrac{\pi}{3} \right)}
\end{equation}です。
△ABDの面積 Sは、
\begin{eqnarray}
S &=& \frac{1}{2} \, \mathrm{AB \cdot BD} \sin \theta
\\
&=& \cfrac{\sqrt{3} \sin \theta}{4 \sin \left( \theta +\cfrac{\pi}{3} \right)}
\end{eqnarray}となります。

四面体の高さ h
\begin{eqnarray}
h &=& \mathrm{BC} \sin \left( \frac{\pi}{3} -\theta \right) \\
&=& \sin \left( \frac{\pi}{3} -\theta \right)
\end{eqnarray}です。

体積 Vは、
\begin{eqnarray}
V &=& \frac{1}{3} \, Sh \\
&=& \cfrac{\sqrt{3} \sin \theta \sin \left( \cfrac{\pi}{3} -\theta \right)}{12 \sin \left( \theta +\cfrac{\pi}{3} \right)}
\end{eqnarray}と求めることができます。

相加平均と相乗平均の関係から、
相加平均、相乗平均、調和平均の関係 - 数式で独楽する
\begin{equation}
V \leqq \frac{\sqrt{3}}{48} \cfrac{\sin^2 \theta + \sin^2 \left( \cfrac{\pi}{3} -\theta \right)}{\sin \left( \theta +\cfrac{\pi}{3} \right)}
\end{equation}が成り立ちます。
等号成立は
\begin{eqnarray}
\theta &=& \frac{\pi}{3} -\theta \\
\theta &=& \frac{\pi}{6}
\end{eqnarray}のときです。
このとき、
\begin{equation}
V \leqq \frac{\sqrt{3}}{48}
\end{equation}です。

以上より、

  • 体積の最大値は \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{48}
  • このときのDは辺ACの中点

です。

解説

点Dを定めたとき、四面体ABCDの体積が最大となるのは、点Cが面ABDより最も離れたとき、すなわち面BCDが面ABDに対して垂直となったときです。
この前提で四面体の体積を求めて、最大値の評価をしています。