数式で独楽する

数式を使って楽しむブログです

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文字式を使う意味

中学で数学を学ぶかなり初期の段階で、

  • 文字式

が登場します。

文字式や記号を使う意味

とは何かを考えてみました。
あくまで個人的な意見です。

ひとつめ。
具体的な数字に依らず、数と数との関係や法則性を表すことができる
というものです。
例えば、
\begin{equation}
2 \times 3=3\times 2
\end{equation}ですが、数字は2と3でなくても成り立ちます。
数字を挙げればきりがありませんが、
\begin{equation}
a \times b=b \times a
\end{equation}と書けば、数字に依らず交換法則が成り立つことが表現できるのです。

ふたつめ。
具体的な数字を使うと、場合によっては煩雑な計算が要求されます。
ときにその計算が、問題の本質から逸れてしまうこともあります。
文字や記号を使うと、煩雑な計算が全てなくなるわけではありませんが、かなり省略できます。
例えば、円周率の絡む計算で、
小学校では、
\begin{equation}
12 \times 3.14=37.68
\end{equation}といちいち計算します。
中学校以降ではギリシャ文字πを用いて
\begin{equation}
12\pi
\end{equation}で済みます。
小学校の算数と、中学以降の数学では、求められるものが異なるのですね。

みっつめ。
文章で書くと長くなるけれど、文字や記号を使って数字を書けば短くて済む場合があります。
例えば、『天地明察』に

勾股ヲ相乗シ、之ヲ二段。
更ニ勾股弦ノ総和ニテ除。
之ニ弦ヲ乗シ、又勾股ノ和ニテ除ナリ。

とあります。
現代語にすると、

直角三角形の垂辺と底辺を掛けて2倍。
更に垂辺と底辺と斜辺の総和で割る。
これに斜辺を掛けて、また垂辺と底辺の和で割るのである。

というものです。長いですね。
これを、垂辺a、底辺b、斜辺cとして数式で書けば、
\begin{equation}
\frac{2ab}{a+b+c} \cdot \frac{c}{a+b}
\end{equation}と、簡潔に書くことができるのです。

ちなみに、

直角三角形に同じ大きさの円を2つ内接させたときの、円の直径

を求めるものです。