数式で独楽する

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第1余弦定理

余弦定理」には、「第1」と「第2」があります。
本稿では、

について見ていきます。

三角形の1辺の長さは、両端の角の大きさと他の2辺の長さで表せる

というものです。すなわち、
三角形ABCにおいて、頂点A, B, Cに相対する辺の長さをそれぞれa, b, cとするとき、
\begin{eqnarray}
a &=& c \cos B + b \cos C \\
b &=& a \cos C + c \cos A \\
c &=& b \cos A + a \cos B
\end{eqnarray}
となるというものです。
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鋭角三角形の場合

3つの角が全て鋭角の三角形を、「鋭角三角形」といいます。
「鋭角」とは90º未満の角のことです。

頂点Aから辺BCに垂線を下ろし、足をDとします。
f:id:toy1972:20190409232241g:plain

図より明らかにBC=BD+CDです。
ここで、
\begin{eqnarray}
\mathrm{BD} &=& c \cos B \\
\mathrm{CD} &=& b \cos C
\end{eqnarray}
なので、
\begin{equation}
a = c \cos B + b \cos C
\end{equation}となります。

直角三角形の場合

直角三角形は、角の1つが直角となっている三角形です。
角Cを直角としても、一般性を失いません。
このとき、D=Cとなります。
また、
\begin{equation}
\cos C = 0
\end{equation}であるので、
\begin{equation}
a = c \cos B + b \cos C
\end{equation}が成り立ちます。

鈍角三角形の場合

1つの角が鈍角となっている三角形を、「鈍角三角形」といいます。
「鈍角」は90ºを超え、180ºに満たない角をいいます。
角Cを鈍角としても、一般性を失いません。
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鋭角三角形の場合と同様に、頂点Aから辺BCに垂線を下ろし、足をDとします。
このとき、BC=BD-CDです。
ここで、
\begin{eqnarray}
\mathrm{BD} &=& c \cos B \\
\mathrm{CD} &=& -b \cos C
\end{eqnarray}
なので、
\begin{equation}
a = c \cos B + b \cos C
\end{equation}となります。
角Cが鈍角なので、
\begin{equation}
\cos C < 0
\end{equation}であることに注意しましょう。

他の辺についても同様にして求めることができます。
形式上、
\begin{eqnarray}
a & \to & b & \to & c & \to & a \\
A & \to & B & \to & C & \to & A
\end{eqnarray}
と順番に入れ替えていっても求められます。

まとめ

以上のことから、三角形ABCの1辺の長さは他の2辺と両端の角を用いて、
\begin{eqnarray}
a &=& c \cos B + b \cos C \\
b &=& a \cos C + c \cos A \\
c &=& b \cos A + a \cos B
\end{eqnarray}
と表すことができます。

おまけ

第2余弦定理はこちら。
第2余弦定理 - 数式で独楽する

正弦定理もあります。
正弦定理 - 数式で独楽する