直角三角形の斜辺の2乗は、他の2辺の2乗の和に等しい
というものです。
角Cが直角の直角三角形ABCの3辺の長さについて、
\begin{equation}
\mathrm{AB}^2=\mathrm{BC}^2+\mathrm{CA}^2
\end{equation}が成り立つ、ということです。
証明は数多くあります。
本稿では、3辺にそれぞれ正方形を付けてみます。
誰もがどこかで見たことがある絵かと思います。
図では、
- 辺ABに正方形ABED
- 辺BCに正方形BCGF
- 辺CAに正方形CAJH
を付けています。
直角三角形の3辺に正方形を付けると、冒頭の命題は、
正方形ABED=正方形BCGF+正方形CAJH
ということになります。
ここで図形に対して用いる等号は、「面積が等しい」という意味で用います。
ここでは、この命題を示していくことになります。
辺ABに平行な直線FMとJNを引きます。
辺ABに垂直な直線CLを引きます。辺ABとの交点をKとします。
辺BCとCAにそれぞれ平行な直線EP、DPを引きます。
正方形BCGF=長方形BELK
ここから、
- 正方形BCGF=長方形BELK
であることを見ていきます。
正方形BCGF=平行四辺形BAMF
正方形BCGFと平行四辺形BAMFに着目します。
両者は底辺BFが共通で、高さが等しいことが分かります。
したがって、
- 正方形BCGF=平行四辺形BAMF
となります。
本稿で掲げる図では面積が等しい箇所を同じ色で塗っていますが、
重なっている部分は色を濃くしてあります。
平行四辺形BAMF≡平行四辺形BEPC
次に、平行四辺形BAMFと平行四辺形BEPCに着目します。
直線三角形に付けているのは正方形であるため、
- BF=BC
- BA=BE
です。また、
- ∠ABF=∠EBC=∠ABC+90º
です。よって、
- 平行四辺形BAMF≡平行四辺形BEPC
と言えます。
平行四辺形BAMFを点Bで90º回転させると、平行四辺形BEPCに重ねることができます。
平行四辺形BEPC=長方形BELK
平行四辺形BEPCと長方形BELKに着目します。
底辺BEが共通で、高さが等しいことが分かります。
したがって、
- 平行四辺形BEPC=長方形BELK
となります。
正方形BCGF=長方形BELK
以上のことから、
- 正方形BCGF=長方形BELK
であることが分かります。
正方形CAJH=長方形ADLK
同様に、
- 正方形CAJH=長方形ADLK
であることを見ていきます。
文章は省略します。
正方形CAJH=平行四辺形BNJA
平行四辺形BNJA≡平行四辺形DPCA
平行四辺形DPCA=長方形DLKA
正方形CAJH=長方形DLKA
以上のことから、
- 正方形CAJH=長方形DLKA
であることが分かります。
正方形ABED=正方形BCGF+正方形CAJH
図より明らかに、
- 正方形ABED=長方形BELK+長方形DLKA
です。
一方、ここまで
- 正方形BCGF=長方形BELK
- 正方形CAJH=長方形DLKA
であることを示してきました。
よって、
- 正方形ABED=正方形BCGF+正方形CAJH
であることを示すことができます。
まとめ
以上より、
角Cが直角の直角三角形ABCの3辺の長さについて、
\begin{equation}
\mathrm{AB}^2=\mathrm{BC}^2+\mathrm{CA}^2
\end{equation}が成り立つことが示すことができました。