数式で独楽する

数式を使って楽しむブログです

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1-1+1-1+┅=?

\begin{equation}
1-1+1-1+\cdots = \frac{1}{2}
\end{equation}

1と-1を交互に足し上げていくと、1/2になる、というものです。

不思議な関係です。
この主張について、見ていきましょう。

級数が収束するものとして収束値を求める

以下に示す級数が「収束するものとして」、収束値を Sとします。
\begin{equation}
S = 1-2+3-4+\cdots
\end{equation}
おもむろに、 2Sを書き下します。
\begin{equation}
2S = (1-2+3-4+\cdots) + (1-2+3-4+\cdots)
\end{equation}式を書き換えてみます。
\begin{equation}
2S = (1-2+3-4+\cdots) +1+(-2+3-4+5- \cdots)
\end{equation}
この式の、括弧の外に出した部分は1です。
さらに2つの括弧の中の第1項をそれぞれまとめます。
第2項以降も、同様にまとめていきます。
つまり、足し算の「順序を入れ替え」ます。
\begin{eqnarray}
2S &=& 1+(1-2)+(-2+3)+(3-4)+(-4+5)+\cdots \\
&=& 1-1+1-1+\cdots
\end{eqnarray}

ここで、
1-2+3-4+┅=? - 数式で独楽する
で導いた、
\begin{equation}
S=\frac{1}{4}
\end{equation}を用いると、
\begin{equation}
1-1+1-1+\cdots = \frac{1}{2}
\end{equation}が得られます。

級数を用いる

初項1、公比xの等比級数の和は
\begin{equation}
1+x-x^2+x^3+\cdots = \frac{1}{1-x} \tag{1}
\end{equation}です。
式(1)の x -xに置き換えると、
\begin{equation}
1-x+x^2-x^3+\cdots = \frac{1}{1+x} \tag{2}
\end{equation}となります。
さらに式(2)に「 x=1を代入する」と、
\begin{equation}
1-1+1-1+\cdots = \frac{1}{2}
\end{equation}が得られます。

どこが怪しいのか?

不思議な関係です。上の記述で怪しいところは、次の通りです。

級数が収束するものとしている

級数が収束するかどうか分からないにもかかわらず、収束する前提で論を進めています。
級数の各項は発散しています。
部分和は1または0であり、収束はしていません。

和の順序を入れ替えている

恣意的に和の順序を入れ替えて、収束するものとしています。

収束する範囲の外の数を代入している

式(1)は初項1、公比 xの等比級数
式(2)は初項1、公比 -xの等比級数です。
どちらも -1 < x < 1で収束します。
式(2)で x=1を代入するのはちょっと待ってくれ、というところです。

ということで、本稿の内容を飲み下すには、さらに高度な数学が必要です。