数式で独楽する

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楕円状の鏡 その2

楕円の焦点には次のような性質があります。

楕円状の鏡がある。
一方の焦点から光を発すると、もう一方の焦点に達する。

幾何学的に言い換えると、次のようになります。

楕円上の点Pと焦点F, F'について、線分FP, F'Pはそれぞれ点Pにおける楕円の接線と等しい角をなす。

楕円状の鏡 - 数式で独楽する
では、このことを代数的に導きましたが、本稿では視点を変えて考えていきます。
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まず、

  • F, F' : 楕円の焦点
  • AB : 楕円の長軸
  • O : 線分FF'の中点(長軸ABの中点)
  • P : 楕円上の任意の点

とします。式で書くと、

FP + F'P = OA = OB (1)
OF = OF' (2)

です。

ここで、

  • 半直線F'P上にPQ = PF (式(3))となる点Q
  • F'QOH (式(4))となる線分FQ上の点H

を定めます。
すると、式(1), (3)より、

F'Q = 2 OA (5)

となります。

式(4)より△FF'Q∽△FOHで、式(2), (5)の関係もあるので、

FH = QH (6)
OH = OA (7)

が成り立ちます。

式(3), (6)より、△PFH≡△QPH*1なので、

∠FPH = ∠QPH (8)
PH⊥FQ (9)

となります。

式(8)は、

∠FPH = ∠QPHの対頂角

でもあるので、
線分FP, F'Pが直線PHとなす角は等しい (9)

ということになります。

さて、ここで直線PHとは何か、が気になります。

  • 点Pは楕円上の点である
  • 点Pを除く直線PH上の点は、全て楕円の外側にある

ので、

直線PHは点Pにおける楕円の接線である

ということが分かります。
したがって、
FP, F'Pが接線となす角の大きさが等しい

ことが分かります。

なお、式(7), (9)より、

3点A, B, Hは中心をOとする同一円周上にある

ことが分かります。
これより、

楕円の焦点から接線に垂直を下ろすと、
その足は楕円の長軸を直径とする円周上にある

ということが分かります。

*1:合同を示すのに必要なもうひとつの条件は「PHは共通」です。