数式で独楽する

数式を使って楽しむブログです

[tex: ]

京大 2013年 前期 理系 第5問その1

 xy平面内で y軸上の点Pを中心とする円 Cが2つの曲線

\begin{eqnarray}
C_1 : & \ y &=& \sqrt{3} \log (1+x) \\
C_2 : & \ y &=& \sqrt{3} \log (1 -x)
\end{eqnarray}と点A、点Bで接しているとする。さらに△PABはAとBが y軸に関して対称な位置にある正三角形であるとする。このとき、3つの曲線 C, \ C_1, \ C_2で囲まれた部分の面積を求めよ。ただし、2つの曲線がある点で接するとは、その点を共有し、さらにその点において共通の接線をもつことである。

f:id:toy1972:20200801234507p:plain:w400


曲線と曲線で囲まれた部分の面積を求める問題は、積分を学習すると必ず登場します。
本問もその類いですが、円を表す式が明示されていません。
このため、問題文に書かれてある条件から、円 Cを表す式を求めることが必要になります。

関数 f_1(x), \ f_2(x)
\begin{eqnarray}
f_1(x) &=& \sqrt{3} \log (1+x) \\
f_2(x) &=& \sqrt{3} \log (1 -x)
\end{eqnarray}とすると、
\begin{eqnarray}
f_1'(x) &=& \frac{\sqrt{3}}{1 +x} \\
f_2'(x) &=& \frac{\sqrt{3}}{1 -x}
\end{eqnarray}です。*1


与えられた条件から、点A, Bの座標を求めていきます。

曲線 C, \ C_1が点A (x_1, \ \sqrt{3} \log (1 +x_1))で接するということは、点Aにおける曲線 C_1の法線 l_1が点Pを通るということです。
同様に、曲線 C, \ C_2が点B (x_2, \ \sqrt{3} \log (1 -x_2))で接するということは、点Bにおける曲線 C_2の法線 l_2が点Pを通るということです。*2

さらに、

  • 曲線 C_1, \ C_2 y軸に関して対称
  •  C y軸に関して対称

なので、

  • 2点A, Bは y軸に関して対称

となります。
つまり、両点の y座標は等しくなります。
言い換えると、線分ABと x軸は平行であることが分かります。

△PABは正三角形なので、法線 l_1, \ l_2の傾きはそれぞれ -\sqrt{3}, \ \sqrt{3}である必要があります。*3
すなわち、
\begin{eqnarray}
- \frac{1 +x_1}{\sqrt{3}} &=& - \sqrt{3} \\
\frac{1 -x_2}{\sqrt{3}} &=& \sqrt{3}
\end{eqnarray}なので、
\begin{eqnarray}
x_1 &=& 2 \\
x_2 &=& -2
\end{eqnarray}となります。
AB=4なので、
\begin{equation}
\mathrm{P A} =\mathrm{PB} =4
\end{equation}となります。


 Cの半径が出ました。

ここで、法線 l_1を式で表すと、
\begin{equation}
y = -\sqrt{3} (x -2) + \sqrt{3} \log 3 \tag{1}
\end{equation}となります。*4
式(1)で x=0とすると、
\begin{equation}
y = \sqrt{3}(2 + \log{3})
\end{equation}となります。
したがって、点Pの座標は、
\begin{equation}
\mathrm{P} (0, \ \sqrt{3}(2 + \log{3}))
\end{equation}となります。
よって、円 Cを表す式は、
\begin{equation}
x^2 + \left( y - \sqrt{3}(2+\log{3}) \right)^2 = 16
\end{equation}となります。

曲線 C, \ C_1, \ C_2に囲まれた部分の面積を求めるには、円 Cの下半分を考慮すればよいので、 Cの式を
\begin{equation}
y = f(x) = -\sqrt{16 -x^2} + \sqrt{3}(2 + \log{3})
\end{equation}と書き直します。

続きます。
京大 2013年 前期 理系 第5問その2 - 数式で独楽する

*1:「接線」が登場すれば、導関数を求める(微分する)のは鉄則です。

*2:円とその接線の関係です。接点で立てた接線の垂線は円の中心を通るというものです。

*3:言うまでもなく、 \tan 60^\circ = \sqrt{3}です。

*4: (x_0, \ y_0)を通る、傾きが aの直線は、 \begin{equation} y -y_0 = a(x -x_0) \end{equation}で表されます。