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2005年前期 京大 理系 第5問 その2

 kを正の整数とし、 2k \pi \leqq x \leqq (2k +1) \piの範囲で定義された2曲線
\begin{equation}
C_1 \ : \ y = \cos x, \quad C_2 \ : \ y = \frac{1 -x^2}{1 +x^2}
\end{equation}を考える。

(1)  C_1 C_2は共有点をもつことを示し、その点における C_1の接線は点(0, 1)を通ることを示せ。

(2)  C_1 C_2の共有点はただ1つであることを証明せよ。

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小問(2)の解答例

曲線 C_1上の点 (t, \, \cos t)における接線の y切片は
\begin{equation}
h(t) = t \sin t +\cos t
\end{equation}です。
\begin{eqnarray}
h'(t) &=& \sin t +t \cos t -\sin t \\
&=& t \cos t
\end{eqnarray}なので、 h(t)の増減は次のようになります。
\begin{array}{|c|ccccc|}
\hline
t & 2k \pi & \cdots & (2k +\frac{1}{2}) \pi & \cdots & (2k +1) \pi \\ \hline
h'(t) && + & 0 & - & \\ \hline
h(t) & 1 & \nearrow && \searrow & -1 \\ \hline
\end{array}
したがって、 2k \pi < t < (2k +1) \pi
\begin{equation}
h(t) = t \sin t +\cos t = 1 \tag{1}
\end{equation}となる tはただ1つ存在します。

ところで、小問(1)の結果により、式(1)は

  • 曲線 C_1上の点から接線を引いたときに点(0, 1)を通るための条件である
  • その C_1上の点は、曲線 C_2との共有点である

ことを示すものでした。

以上のことから、両者の共有点がただ1つであることが示されます。

解説

前半の f(x), \ g(x)は共に定義域で単調減少ですが、 f(x) -g(x)も単調減少であるとは言い切れません。共有点はただ1つであることを直接示すのは難しい状況です。
本問では、共有点における接線が(0, 1)を通ることを用い、共有点がただ1つであることを間接的に示しています。