(1) のとき、不等式が成立することを示せ。
(2) 自然数に対して関数のにおける最大値をとする。このときを求めよ。
小問(1)の解答例
\begin{equation}
g(x) = e^x.-\left( 1 +\frac{1}{2} \, x^2 \right)
\end{equation}とします。において、が示せれば、題意は証明できることとなります。
\begin{eqnarray}
g'(x) &=& e^x -x \\
g''(x) &=& e^x -1 \geqq 0
\end{eqnarray}なので、はで単調増加です。
また、
\begin{equation}
g'(0) = 1
\end{equation}なので、において
\begin{equation}
g'(x) \geqq 1 > 0
\end{equation}を得ます。したがって、はにおいて単調増加となります。
さらに、
\begin{equation}
g(0) = 0
\end{equation}なので、で
\begin{equation}
g(x) \geqq 0
\end{equation}となります。
よって題意は証明されました。
小問(2)の解答例
\begin{equation}
f_n (x) = n^2 (x -1) \, e^{-nx}
\end{equation}なので、導関数は
\begin{eqnarray}
f'_n (x) &=& n^2 e^{-nx} -n^3 (x -1) \, e^{-nx} \\
&=& n^2 e^{-nx} \{ 1 -n(x -1) \} \\
&=& n^2 e^{-nx} (n +1 -nx)
\end{eqnarray}です。
の増減は次のようになります。
\begin{array}{|c|ccccc|}
\hline
x & 0 & \cdots & 1 +\frac{1}{n} & \cdots & \infty \\ \hline
f'_n (x) && + & 0 & - \\ \hline
f_n (x) & -n^2 & \nearrow & M_n & \searrow & 0 \\ \hline
\end{array}
したがって、
\begin{eqnarray}
M_n &=& f_n \left( 1 +\frac{1}{n} \right) \\
&=& n \, e^{-n -1} \tag{1}
\end{eqnarray}を得ます。
一方、において、
\begin{equation}
\frac{1}{1 -x} = 1 +x +x^2 +x^3 +\cdots \tag{2}
\end{equation}が成り立ちます。
等比数列の和と等比級数 - 数式で独楽する
(1+x)のべき乗のマクローリン展開 - 数式で独楽する*1
両辺を微分して
\begin{eqnarray}
\frac{1}{(1 -x)^2} &=& 1 +2x +3x^2 +\cdots \tag{3} \\
\frac{1}{(1 -x)^2} &=& \sum_{n = 1}^\infty n \, x^{n -1}
\end{eqnarray}を得ます。
逆数の微分 - 数式で独楽する
合成関数の微分 - 数式で独楽する
(1+x)のべき乗のマクローリン展開 - 数式で独楽する*2
ここでとすると、式(1)により
\begin{eqnarray}
\frac{1}{(1 -e^{-1})^2} &=& \sum_{n = 1}^\infty n \, e^{-n +1} \\
&=& e^2 \sum_{n = 1}^\infty M_n
\end{eqnarray}を得ます。
\begin{equation}
e^2 (1 -e^{-1})^2 = (e -1)^2
\end{equation}なので、
\begin{equation}
\sum_{n = 1}^\infty M_n = \frac{1}{(e -1)^2}
\end{equation}となります。
解説
小問(1)は左辺から右辺を引いたものの増減を調べるのが分かり易いでしょう。指数関数のマクローリン展開を用いれば簡単ですが、ここでは用いていません。
指数関数のマクローリン展開 - 数式で独楽する
小問(2)の前半は、おとなしく微分して増減を見るよりありません。前半で得られた形から、後半は等比級数の和を微分してみようかという発想になっています。小問(1)の結果を用いるところがなかったのが気になります。