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日本数学オリンピック1997予選

 1997!を十進法で展開したとき、末尾に何個の0が並ぶか?

問題文が簡単に書かれています。
\begin{equation}
1997! = 1997 \times 1996 \times \cdots \times 2 \times 1
\end{equation}なので、直接計算するのは電卓を使ってもできそうにありません。
表示桁数が電卓では少ないです。
数そのものが大きくなりすぎて、電卓では取り扱えません。
なお、制限時間は3時間で、問題は全部で12問です。

工夫が必要です。
また、「末尾に0が何個並ぶか」とわざわざ書いていることに注目します。
「0が並ぶ」のキーワードで注目するのは、
\begin{equation}
10 = 2 \times 5
\end{equation}です。

次に注目するのは、2の倍数と5の倍数の数です。
連続する10個の整数で、

  • 2の倍数は5個
  • 5の倍数は2個

なので、5の倍数の個数が1997!の末尾の0の個数と言うことができます。
注意しないといけないのは、因数5を複数持っている場合です。
\begin{equation}
\begin{array}{rclcrcl}
10 &=& 2 \times 5 & \\
100 &=& 2^2 \times 5^2 &=& 4 &\times & 25 \\
1000 &=& 2^3 \times 5^3 &=& 8 &\times & 125 \\
10000 &=& 2^4 \times 5^4 &=& 16 &\times & 625
\end{array}
\end{equation}
なので、5の累乗の倍数には注意する必要があります。

このことを踏まえて。
1997を5で割ると、5の倍数の個数が得られます。
勿論、「 5n」の形になっています。
5の倍数の個数をさらに5で割ると、5×5=25の倍数の個数が得られます。
以下、5の累乗の倍数についても同様です。
このようにして得た5の累乗の個数を全て足し合わせると、末尾に並ぶ0の個数が得られます。


したがって、
\begin{equation}
\begin{array}{rcrcrclr}
5の倍数 &\cdots & 1997 \div 5 &=& 399 &余り& 2 & 399個 \\
5^2の倍数 &\cdots & 399 \div 5 &=& 79 &余り& 4 & 79個 \\
5^3の倍数 &\cdots & 79 \div 5 &=& 15 &余り& 4 & 15個 \\
5^4の倍数 &\cdots & 15 \div 5 &=& 3 &&& 3個
\end{array}
\end{equation}
よって、1997!の末尾に並ぶ0の個数は、
\begin{equation}
399+79+15+3=496
\end{equation}
496個となります。

答え: 496個