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京大 1991年 前期 理系 第1問

 y軸上の点P (0, -p) \ \ (p>0)と定点A(0, 2)に対し、APを直径とする円を Cとする。点Q (s,t) \ \ (s \leqq 0)を、PQの中点=「 Cと直線 y=1の交点」となるようにとる。

(1)  s,tを求めよ。

(2) Pが y軸上の負の部分すべてを動くとき、対応するQ全体はどのような曲線になるか。また直線PQはこの曲線の、点Qでの、接線となっていることを示せ。


小問(1)の方針

まず、問題文の情報から図を描いてみることでしょう。
 Cの方程式も円 Cと直線 y=1の交点も容易に求めることができるので、点Qの座標も求めることができます。

小問(1)の解答例

 Cの中心は \displaystyle \left( 0, \, \frac{-p +2}{2} \right)、半径は \displaystyle 2 - \frac{-p +2}{2} = \frac{p+2}{2}です。円 Cの方程式は、
\begin{equation}
x^2 + \left( y + \frac{p -2}{2} \right)^2 = \left( \frac{p+2}{2} \right)^2 \tag{1}
\end{equation}となります。
式(1)で y=1とすると、PQの中点の x座標を得ます。 x \geqq 0を考慮して、
\begin{eqnarray}
x^2 + \frac{p^2}{4} &=& \left( \frac{p+2}{2} \right)^2 \\
x^2 &=& p +1 \\
\therefore \quad x&=& \sqrt{p +1}
\end{eqnarray}となります。
つまり、PQの中点の座標は (\sqrt{p+1}, \, 1)です。
これより、Qの座標は (2 \sqrt{p+1}, \, p+2)となります。
よって、
\begin{eqnarray}
s &=& 2\sqrt{p+1} \tag{2} \\
t &=& p+2 \tag{3}
\end{eqnarray}を得ます。

小問(2)の方針

小問(1)の結果より、点Qの軌跡は容易に得られます。
範囲については気をつけたいところです。
接線のくだりは、接線と直線が一致することを示すことになります。

小問(2)の解答例

式(2), (3)より pを消去します。
\begin{eqnarray}
s^2 &=& 4p + 4 \\
&=& 4(t -2) +4 \\
&=& 4t -4
\end{eqnarray}これより
\begin{equation}
t = \frac{1}{4} \, s^2 +1
\end{equation}を得ます。
なお、 p>0なので、 s>2です。

以上より、点Qの全体は
\begin{equation}
y = \frac{1}{4} \, x^2 +1 \quad (x>1) \tag{4}
\end{equation}となります。

直線PQについて、
傾きは \displaystyle \frac{p+1}{\sqrt{p+1}} = \sqrt{p+1}
切辺は -pなので、直線の式は
\begin{equation}
y = \sqrt{p+1} \, x -p \tag{5}
\end{equation}となります。

一方、式(4)より
\begin{equation}
y' = \frac{1}{2} \, x
\end{equation}なので、点Q (2 \sqrt{p+1}, \, p+2)における接線は、
\begin{eqnarray}
y -(p+2) &=& \sqrt{p+1} \left( x -2\sqrt{p+1} \right) \\
&=& \sqrt{p+1} \, x -2(p+1) \\
\therefore \quad y &=& \sqrt{p+1} \, x -p \tag{6}
\end{eqnarray}となります。

式(5), (6)より、直線PQと点Qの軌跡の点Qにおける接線は、一致することが示されました。