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京大 2014年 理系 第4問

実数の定数 a,bに対して、関数 f(x)
\begin{equation}
f(x) = \frac{ax +b}{x^2 +x +1}
\end{equation}で定める。すべての実数で不等式

\begin{equation}
f(x) \leqq f(x)^3 -f(x)^2 +2
\end{equation}が成り立つ点 (a,b)の範囲を図示せよ。

解答例

\begin{equation}
f(x) \leqq f(x)^3 -f(x)^2 +2
\end{equation}は、
\begin{eqnarray}
f(x)^2 \left \{ f(x) -2 \right \} - \left \{ f(x) -2 \right \} & \leqq & 0 \\
\left \{ f(x)^2 -1 \right \} \left \{ f(x) -2 \right \} & \leqq & 0 \\
\left \{ f(x) +1 \right \} \left \{ f(x) -1 \right \} \left \{ f(x) -2 \right \} & \leqq & 0
\end{eqnarray}と変形でき、
\begin{equation}
-1 \leqq f(x) \leqq 1, \ 2 \leqq f(x)
\end{equation}を得ます。
一方、十分大きな xに対して f(x) < 2となるので、全ての xに対し満たし得るのは
\begin{equation}
-1 \leqq f(x) \leqq 1
\end{equation}のみとなります。

分母を払うと
\begin{equation}
-x^2 -x -1 \leqq ax +b \leqq x^2 +x +1
\end{equation}となります。
つまり、以下の2式が同時に成り立ちます。
\begin{eqnarray}
x^2 +(a +1)x +(b +1) & \leqq & 0 \tag{1} \\
x^2 -(a -1)x -(b -1) & \leqq & 0 \tag{2}
\end{eqnarray}
全ての実数 xに対し式(1), (2)が成り立つ条件はそれぞれ次のようになります。
\begin{eqnarray}
(a +1)^2 -4(b +1) & \leqq & 0 \\
(a -1)^2 +4(b -1) & \leqq & 0
\end{eqnarray}
整理すると、全ての実数 xに対して式(1), (2)が同時に成り立つ条件は、以下の2式が同時に成り立つこととなります。
\begin{eqnarray}
b & \geqq & \frac{1}{4} (a +1) -1 \\
b & \leqq & \frac{1}{4} (a -1) +1
\end{eqnarray}

図示すると次のようになります。
2つの放物線に囲まれた、橙色に着色した部分で、境界を含みます。
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解説

見た目はややこしい形ですが、よく見ると不等式は因数分解できる形です。
これより関数の値のとり得る範囲が定まります。
与えられた関数は分数関数になっており、一部の範囲が弾かれることになります。
分母を払うと2次不等式が現れます。
全ての実数 xに対して成り立つ条件を求めるのに、2次方程式の判別式が登場します。