次の問いに答えよ。
(1) を正の整数、とする。はで割り切れるがで割り切れないことを示せ。
(2) を正の偶数とする。がで割り切れるならばまたはであることを示せ。
小問(1)の解答例
小問(2)の解答例
- 偶数 = 奇数 × 2の冪乗
であることを踏まえ、次の補題(A)を証明します。
補題(A)の証明
補題(A)
を正の整数、とする。
はで割り切れるがで割り切れない
を数学的帰納法で証明します。
(i) n=1の場合
\begin{eqnarray}
3^{2(2l -1)} -1 &=& 9^{2l -1} -1 \\
& \equiv & 1^{2l -1} -1 \mod 2^3 =8 \\
&=& 0 \\
3^{2(2l -1)} -1 &=& 9^{2l -1} -1 \\
&=& 81^{l -1} \cdot 9 -1 \\
& \equiv & 1^{l -1} \cdot 9 -1 \mod 2^4 =16 \quad (\because 81 = 5\times 16 +1) \\
&=& 8
\end{eqnarray}
つまり、
\begin{eqnarray}
3^{2(2l -1)} -1& \equiv & 0 \mod 2^3 \\
3^{2(2l -1)} -1 & \equiv & 8 \mod 2^4
\end{eqnarray}です。
これは、がで割り切れるがで割り切れないことを示しており、の場合に補題(A)が成り立つことを示しています。
(ii) n=kの場合
- はで割り切れるがで割り切れない
つまり、正の整数を用いて
\begin{equation}
3^{b(k)} -1 = (2q -1) \, 2^{k +2}
\end{equation}と表すことができると仮定します。
このとき、
\begin{eqnarray}
3^{b(k +1)} -1 &=& 3^{2b(k)} -1 \\
&=& \left \{ 3^{b(k)} +1 \right \} \left \{ 3^{b(k)} -1 \right \} \\
&=& \left \{ (2q -1) \, 2^{k +2} +2 \right \} (2q -1) \, 2^{k +2} \\
&=& \left \{ (2q -1) \, 2^{k +1} +1 \right \} (2q -1) \, 2^{k +3}
\end{eqnarray}は、で割り切れるがで割り切れないことが分かります。*1
以上より、補題(A)
- はで割り切れるがで割り切れない
ことが示されました。
解説
小問(1)で3の指数が2の冪乗になっていたのが、小問(2)では2の倍数となっています。
小問(1)から一足飛びで小問(2)を証明するのは無理筋だと判断しました。
よって、その架け橋となる部分を本稿では記述しています。
*1:こちらも奇数×奇数×です。