を互いに素、すなわち1以外の公約数をもたない正の整数とし、さらには奇数とする。
正の整数に対して整数を
\begin{equation}
\left( a +b \sqrt{2} \right)^n = a_n +b_n \sqrt{2}
\end{equation}を満たすように定めるとき、次の(1), (2)を示せ。ただしが無理数であることは証明なしに用いてよい。(1) は奇数であり、とは互いに素である。
(2) すべてのに対して、は奇数であり、とは互いに素である。
小問(1)の解答例
\begin{equation}
a_1 +b_1 \sqrt{2} = a +b \sqrt{2}
\end{equation}なので、
\begin{eqnarray}
a_1 &=& a \\
b_1 &=& b
\end{eqnarray}です。設問の前提により、
- は奇数、
- は互いに素
であることが分かります。
また、
\begin{eqnarray}
a_2 +b_2 \sqrt{2} &=& (a +b \sqrt{2})^2 \\
&=& a^2 +2b^2 +2ab \sqrt{2}
\end{eqnarray}なので、
\begin{eqnarray}
a_2 &=& a^2 +2b^2 \tag{1} \\
b_2 &=& 2ab \tag{2}
\end{eqnarray}です。が奇数なので、式(1)は、は奇数であることを示しています。
式(2)は、がを因数に持つことが分かります。
一方、式(1)はで割り切れないことを示しています。
したがって、は互いに素であることを示しています。以上より、題意は証明されました。
小問(2)の解答例
解説
「が無理数であることは証明なしに用いてよい」と問題文にあります。
\begin{equation}
p +q \sqrt{2} =0 \Longleftrightarrow p=q=0
\end{equation}を証明なしに用いてよいということです。小問(1)自体は易しく導くことができます。
この設問の半分は、優しさでできています。