数式で独楽する

数式を使って楽しむブログです

[tex: ]

京大 2009年 理系 第4問 その1

 \displaystyle A = \left( \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right) ad -bc =1を満たす行列とする( a,b,c,dは実数)。自然数 nに対して平面上の点 \mathrm{P}_n (x_n, y_n)

\begin{equation}
\left( \begin{array}{cc} x_n \\ y_n \end{array} \right) = A^n \left( \begin{array}{c} 1\\ 0 \end{array} \right)
\end{equation}により定める。 \overrightarrow{\mathrm{OP}_1} \overrightarrow{\mathrm{OP}_2}の長さが1のとき、すべての nな対して \overrightarrow{\mathrm{OP}_n}の長さが1であることを示せ。ここでOは原点である。

解答例

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{OP}_1} &=& \left( \begin{array}{cc}
a & b \\
c & d
\end{array} \right) \left( \begin{array}{c} 1 \\ 0 \end{array} \right)
= \left( \begin{array}{c} a \\ c \end{array} \right) \\
\mathrm{OP}_1 &=& 1
\end{eqnarray}より、
\begin{equation}
a^2 +c^2 = 1 \tag{1}
\end{equation}です。

ケーリー・ハミルトンの定理と式(1)より、
\begin{equation}
A^2 -(a +d)A +I = O \tag{2}
\end{equation}です。 I単位行列です。
単位行列 - 数式で独楽する
零行列 - 数式で独楽する
2×2行列のケーリー・ハミルトンの定理 - 数式で独楽する

これより、
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{OP}_2} &=& A^2 \left( \begin{array}{c} 1 \\ 0 \end{array} \right) \\
&=& \left \{ (a +d)A -I \right \} \left( \begin{array}{c} 1 \\ 0 \end{array} \right) \\
&=& \left( \begin{array}{c} (a +d)a -1 \\ (a +d)c \end{array} \right)
\end{eqnarray}を得ます。
 \mathrm{OP}_2 = 1より、
\begin{equation}
\left \{ (a +d)a -1 \right \}^2 +(a +d)^2 c^2 = 1
\end{equation}となります。
変形していきます。
\begin{equation}
(a +d)^2 a^2 -2a(a +d) +1 +(a +d)^2 c^2 = 1
\end{equation}式(1)を用います。
\begin{equation}
(a +d)^2 -2a(a +d) =0
\end{equation}さらに変形して、
\begin{eqnarray}
(a +d) \left \{ (a +d) -2a \right \} &=& 0 \\
(a +d)(a -d) &=& 0
\end{eqnarray}より
\begin{equation}
d = \pm a
\end{equation}を得ます。

続きます。
京大 2009年 理系 第4問 その2 - 数式で独楽する
京大 2009年 理系 第4問 その3 - 数式で独楽する