数式で独楽する

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京大 2008年 理系 第2問 別解2

正四面体ABCDを考える。点Pは時刻0では頂点Aに位置し、1秒ごとにある頂点から他の3頂点のいずれかに、等しい確率で動くとする。このとき、時刻0から時刻 nまでの間に、4頂点A, B, C, Dのすべてに点Pが現れる確率を求めよ。ただし、 nは1以上の整数とする。

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京大 2008年 理系 第2問 - 数式で独楽する
別解です。

解答例

時刻 nまでの間、点Pが
ずっとA, Bのみを行き来する確率は
\begin{equation}
\left( \frac{1}{3} \right)^n \tag{1}
\end{equation}です。
A, Cのみ、A, Dのみの場合も同様です。

したがって、ずっと2頂点間を行き来する確率は
\begin{equation}
3\left( \frac{1}{3} \right)^n \tag{2}
\end{equation}です。

ずっとA, B, Cを行き来する確率は
\begin{equation}
\left( \frac{2}{3} \right)^n \tag{3}
\end{equation}ですが、この中にはずっとA, Bのみ、A, Cのみを行き来する確率も含まれています。
これより、A, B, Cの3頂点を必ず行き来する確率は、式(3)より式(1)の2倍を控除して
\begin{equation}
\left( \frac{2}{3} \right)^n -2\left( \frac{1}{3} \right)
\end{equation}となります。

したがって、いずれかの3頂点を必ず行き来する確率は
\begin{equation}
3 \left \{ \left( \frac{2}{3} \right)^n -2\left( \frac{1}{3} \right) \right \} \tag{4}
\end{equation}となります。

点Pが4頂点に現れるというのは、2頂点でも3頂点でもない、ということなので、その確率は、
\begin{eqnarray}
&&1 - 3\left( \frac{1}{3} \right)^n -3\left \{ \left( \frac{2}{3} \right)^n -2\left( \frac{1}{3} \right)^n \right \} \\
&&= 1 +3\left( \frac{1}{3} \right)^n -3\left( \frac{2}{3} \right)^n
\end{eqnarray}となります。

解説

2, 3, 4頂点で事象の全てとなることを利用しています。
ということは2頂点を行き来する確率、3頂点を行き来する確率をそれぞれ求めればよいことになります。
3頂点を行き来する中には、2頂点のみを行き来するケースも含まれていることに注意する必要があります。
つまり、余事象をきちんと押さて解くことになります。