を実数とする。3次方程式は3つの複素数からなる解をもち、相異なるに対し、をみたしている。このようなの組をすべて求めよ。
解答例
方程式の係数は全て実数のため、実数解を少なくとも1つ持ちます。
また、なので、方程式は実数を用いて
\begin{equation}
(x -p)^3 = \pm 1 \tag{1}
\end{equation}と書くことができます。*1
式(1)を変形すると
\begin{equation}
x^3 -3px^2 +3p^2 x -p^3 \mp 1 = 0 \tag{2}
\end{equation}となります。
式(2)を元の方程式と係数を比較して、
\begin{eqnarray}
a &=& -3p \tag{3} \\
b &=& 3p^2 \tag{4} \\
-p^3 \mp 1 &=& 1 \tag{5}
\end{eqnarray}を得ます。
式(5)より、
\begin{equation}
p = 0, \ -\sqrt[3]{2}
\end{equation}となります。ここまで複号は同順です。
の場合、式(3), (4)により、
\begin{eqnarray}
a &=& 0 \\
b &=& 0
\end{eqnarray}となります。
の場合、同様にして
\begin{eqnarray}
a &=& 3 \sqrt[3]{2} \\
b &=& 3\sqrt[3]{4}
\end{eqnarray}となります。
以上より、求めるは、
\begin{equation}
(a,b) = (0,0), \ (3\sqrt[3]{2}, \ \sqrt[3]{4})
\end{equation}です。
解説
2003年後期 京大 理系 第3問 - 数式で独楽する
の別解です。
3次方程式の3つの解が複素平面で正三角形を成しています。
つまり、元の方程式を適当に変形して
\begin{equation}
(x -p)^3 = r \, e^{iq}
\end{equation}となる複素数と実数が存在するということです。本稿ではそのことを利用しています。
また、3次方程式の係数が実数です。
解の1つは実数、あとの2つは共役複素数(共軛複素数)です。
そこで、は実数でとしています。
オーソドックスな手法と比べ、スッキリしています。