一次変換$f$により自身に移される直線を、「不動直線」といいます。
一次変換を表す行列を$A$とします。
直線をベクトルで記述すると、
\begin{equation}
\boldsymbol{x} = \boldsymbol{x}_0 +t \boldsymbol{v} \tag{1}
\end{equation}です。ここで、
- : 直線上の点の位置ベクトル
- : 定点の位置ベクトル
- : 直線の方向ベクトル
- : 媒介変数
です。
変換すると、
\begin{equation}
A \boldsymbol{x} = A \boldsymbol{x}_0 + t \, A \boldsymbol{v} \tag{2}
\end{equation}です。方向ベクトルはです。
式(1), (2)を比較します。両者が一致するということについて考えると、次のようになります。
1項は両者の方向ベクトルが平行であるということあり、2項は直線が1点に移されないということです。表現を変えると、
\begin{equation}
A \boldsymbol{v} = \lambda \boldsymbol{v} \tag{3}
\end{equation}ということです。ただし、
\begin{equation}
\boldsymbol{v} \ne \boldsymbol{0} \ \mbox{かつ} \ \lambda \ne 0
\end{equation}です。
つまり、行列$A$が0でない固有値と対応する固有ベクトルをもつことと同義です。
固有値・固有ベクトル - 数式で独楽する
固有ベクトルと一次変換 - 数式で独楽する
また、
\begin{equation}
\boldsymbol{x} = t \boldsymbol{v}
\end{equation}で表される原点を通る直線が不動直線であることを示します。
3項は、直線上の定点が同じ直線上に移されることを表しています。