(1) 多項式を考える。がすべて整数ならば、すべての整数$n$に対し、が整数であることを示せ。
(2) がすべて整数の場合はどうか?
小問(1)の解答例
条件より、
\begin{eqnarray}
f(0) &=& c \in \mathbb{Z} \tag{1} \\
f(1) &=& 1 +a +b +c \in \mathbb{Z} \\
f(-1) &=& -1 +a -b +c \in \mathbb{Z}
\end{eqnarray}です。は整数の集合です。
これより、
\begin{eqnarray}
a +b & \in & \mathbb{Z} \\
a -b & \in & \mathbb{Z} \tag{2}
\end{eqnarray}です。
さらに、
\begin{equation}
2b \in \mathbb{Z} \tag{3}
\end{equation}も成り立ちます。
一方、$f(n)$は
\begin{eqnarray}
f(n) &=& n^3 +an^2 + bn +c \\
&=& n^3 +(a -b)n^2 +b(n^2 +n) +c \\
&=& n^3 +(a -b)^2 +2b \cdot \frac{1}{2} \, n(n+1) +c \tag{4}
\end{eqnarray}と変形できます。
また、であれば
\begin{equation}
\frac{1}{2} \, n(n+1) \in \mathbb{Z}
\end{equation}です。*1
したがって、式(1)~(3)により、式(4)は
\begin{equation}
f(n) \in \mathbb{Z}
\end{equation}つまりは整数であることが示されました。(証明終わり)
小問(2)の解答例
小問(1)の命題は、
$x^3$の係数が1である実数係数の3次式について、が整数ならば、任意の整数$n$に対しは整数である。
ということです。いま、
\begin{equation}
g(x) = f(x+1997)
\end{equation}を定めると、
- は$x^3$の係数が1である実数係数の3次式
- は全て整数
です。
したがって、任意の整数$n$に対しては整数であることが分かります。
つまり、がすべて整数の場合でも、全ての整数$n$に対してが整数となります。
解説
小問(1)
素直に数字を代入すると、$a,b,c$の特定の組合せが整数になることが分かります。
この関係を用いて任意の$n$に対してが整数かどうかを吟味することになります。式変形に工夫が必要です。
小問(2)
小問(1)で示した命題を咀嚼すれば、変数をずらすだけでが全て整数という状況を作ることができます。
すると小問(1)の結果を当てはめることができます。
わざわざを計算する必要はありません。
*1:連続する2整数の積は偶数、つまり2の倍数です。2で割っても整数であることを担保できます。