平面上の鋭角三角形△ABCの内部(辺や頂点は含まない)に点Pをとり、A'をB, C, Pを通る円の中心、B'をC, A, Pを通る円の中心、C'をA, B, Pを通る円の中心とする。このとき A, B, C, A', B', C'が同一円周上にあるための必要十分条件はPが△ABCの内心に一致することであることを示せ。
京大 2009年 理系 第2問 その1 - 数式で独楽する
別解です。
解答例
A, B, C, A', B', C'が同一円周上にある場合
A'は△PBCの外心であり、辺BCの垂直二等分線上にあります。
また、A'は△ABCの外接円上にあります。
これより、A'は弧BCを二等分することが分かります。
ここで、A'を中心とし、B, Cを通る円とAA'の交点をQとします。
\begin{equation}
\stackrel{\large{\frown}}{\mathrm{A'B}} = \stackrel{\large{\frown}}{\mathrm{A'C}}
\end{equation}とA, B, C, A'が同一円周上にあることから、
\begin{equation}
\angle \mathrm{A'AB} = \angle \mathrm{A'AC} = \angle \mathrm{A'BC} = a \tag{1}
\end{equation}となります。
つまり、
- AQは∠CABの二等分線(*1)
となります。
A'B = A'Qより、
\begin{equation}
\angle \mathrm{A'BQ} = \angle \mathrm{A'QB} = t \tag{2}
\end{equation}です。
式(1), (2)より、
\begin{eqnarray}
\angle \mathrm{ABQ} &=& \angle \mathrm{A'QB} - \angle \mathrm{BAQ} &=& t -a \\
\angle \mathrm{CBQ} &=& \angle \mathrm{A'BQ} - \angle \mathrm{A'BC} &=& t -a \\
\therefore \quad \angle \mathrm{ABQ} &=& \angle \mathrm{CBQ}
\end{eqnarray}を得ます。
つまり、
- BQは∠ABCの二等分線(*2)
となります。
(*1), (*2)より、
- Qは△ABCの内心
となります。つまり、
- A'が中心でB, Cを通る円は、△ABCの内心を通る(*3)
ことが分かります。
同様に、
- B'が中心でC, Aを通る円は、△ABCの内心を通る(*4)
- C'が中心でA, Bを通る円は、△ABCの内心を通る(*5)
こととなります。
(*3)~(*5)は、3つの円が1点を共有していることを示しています。
同一直線上にない3点をそれぞれ中心とする円が1点を共有しているとき、その共有点は高々1つしかありません。
この点を改めてPとすると、6点A, B, C, A', B', C'が同一円周上にある場合、点Pは△ABCの内心と一致します。
Pが△ABCの内心である場合
解説
弧A'B, A'Cの長さが等しいことから、AA'が∠Aを二等分していることが分かります。
そしてBQが∠Bを二等分していることとQが△ABCの内心であることを示しています。