数式で独楽する

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2002年後期 京大 理系 第1問

1から n \ (n \geqq 2)までの番号が、順番に1つずつ書かれた n枚の札が袋に入っている。この袋の中から札を1枚ずつ取り出し、つぎの(i), (ii)のルールに従ってAまたはBの箱に入れる。

(i) 最初に取り出した札はAの箱に入れる。

(ii) 2番目以降に取り出した札は、その番号がそれまでに取り出された札の番号のどれよりも大きければAの箱に入れ、そうでないときはBの箱に入れる。

 n枚の札をすべて取り出して箱に入れ終わったとき、Bの箱にちょうど1枚の札が入っている確率を求めよ。

解答例

条件を満たす札の取り出し方は、次の項目を全て満たす必要があります。 k = 1,2, \cdots , n -1とします。

(ア)  1,2,\cdots , k -1番目に、それぞれ 1,2,\cdots , k -1の札を取り出す。

(イ)  k番目に kの札を取り出す。

(ウ)  k +1番目以降の取り出し方は以下のいずれか。
\begin{array}{cccccccc}
\bullet & k, & k +2, & k +3, & \cdots, & n -2, & n -1, & n \\
\bullet & k+2, & k, & k +3, & \cdots, & n -2, & n -1, & n \\
\bullet & k+2, & k +3, & k, & \cdots, & n -2, & n -1, & n \\
\bullet & \cdots, & \cdots, & \cdots, & \cdots, & \cdots, & \cdots, & \cdots \\
\bullet & k +2, & k +3, & k +4, & \cdots, & k, & n -1, & n \\
\bullet & k +2, & k +3, & k +4, & \cdots, & n -1, & k, & n \\
\bullet & k +2, & k +3, & k +4, & \cdots, & n -1, & n, & k \\
\end{array}

 kを固定したとき、上記(ア)、(イ)、(ウ)を全て満たす札の取り出し方は n -k通りです。
 k = 1,2, \cdots, n -1として和をとると、条件を満たす札の取り出し方が得られます。
\begin{eqnarray}
\sum_{k = 1}^{n -1} (n -k) &=& n(n -1) -\frac{1}{2} \, n(n -1) \\
&=& \frac{1}{2} \, n(n -1)
\end{eqnarray}通りです。
自然数の和 - 数式で独楽する

一方、札の取り出し方は全部で n!通りです。

よって、求める確率は、
\begin{equation}
\cfrac{\ \cfrac{1}{2} \, n(n -1) \ }{n!} = \frac{1}{2(n -2)!}
\end{equation}となります。

解説

条件を満たす状況を考えるのが難しい問題です。
とは言え、早い段階で大きな数の札を引くと、忽ち条件を満たさなくなることは分かります。
最初に nの札を取り出すと、Aには1枚、残りはBの箱に入ります。
1から順に札を取り出すと、全てAの箱に入ります。
そのように考えていくと、条件を満たす状況は限られてくることが分かります。