数式で独楽する

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両端を座標軸に固定した線分の包絡線 その3

本稿では、直交座標系において長さ1の線分の両端をそれぞれ x軸、 y軸に固定した条件で動かしてできる包絡線を求めていきます。

両端をP (p,0), Q (0,q)とすると、線分PQの式は
\begin{eqnarray}
\frac{x}{p} +\frac{y}{q} &=& 1 \tag{1} \\
p^2 +q^2 &=& 1 \tag{2}
\end{eqnarray}で表すことができます。
なお、

  •  p = 0のとき、 x = 0
  •  q = 0のとき、 y = 0

とします。


包絡線を求めるにあたって、いくつか考え方があります。
両端を座標軸に固定した線分の包絡線 その1 - 数式で独楽する
両端を座標軸に固定した線分の包絡線 その2 - 数式で独楽する

ここでは、 x = tとしたときに線分が通過する限界を求めることで包絡線を求めます。

 p > 0, \ q > 0の場合
式(1), (2)より
\begin{equation}
y = \sqrt{1 -p^2} \left( 1 -\frac{t}{p} \right)
\end{equation}となります。
 y > 0であるので、 yが最大値となる pを出せばよいこととなります。
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{dp} &=& \frac{-2p}{2\sqrt{1 -p^2}} \left( 1 -\frac{t}{p} \right) +\sqrt{1 -p^2} \cdot \frac{t}{p^2} \\
&=& \frac{-p^3 +tp^2 +(1 -p^2)t}{p^2 \sqrt{1 -p^2}} \\
&=& \frac{-p^3 +t}{p^2 \sqrt{1 -p^2}}
\end{eqnarray}なので、 \displaystyle \frac{dy}{dp} = 0となる t = p^3のとき、最大値は
\begin{equation}
y = (1 -p^2)^{3/2}
\end{equation}となります。

  •  p < 0, \ q > 0
  •  p < 0, \ q < 0
  •  p > 0, \ q < 0

の場合も同様です。

また、

  • 点(±1, 0)は y = 0のみが、
  • 点(0, ±1)は x = 0のみが

通過します。

 \left( p^3, \ (1 -p^2)^{3/2} \right)が描く曲線、つまり両端を座標軸に置いて動かした長さ1の線分の包絡線は
\begin{equation}
x^{2/3} +y^{2/3} = 1
\end{equation}となります。

このやり方は、本質的に
両端を座標軸に固定した線分の包絡線 その2 - 数式で独楽する
と同じです。