(1) で定義された関数について導関数を求めよ。
(2) 極方程式で定義される曲線の、の部分の長さを求めよ。
小問(1)の解答例
\begin{eqnarray}
f'(x) &=& \frac{1}{x +\sqrt{1 +x^2}} \left(1 +\frac{2x}{2\sqrt{1 +x^2}} \right) \\
&=& \frac{1}{x +\sqrt{1 +x^2}} \frac{\sqrt{1 +x^2} +x}{\sqrt{1 +x^2}} \\
&=& \frac{1}{\sqrt{1 +x^2}}
\end{eqnarray}
対数関数の微分 - 数式で独楽する
べき乗の微分 その2 - 数式で独楽する
合成関数の微分 - 数式で独楽する
小問(2)の解答例
偏角方向に、動径方向にだけ微小に変化したとき、この部分の長さは、
\begin{equation}
ds = \sqrt{(dr)^2 +(r \, d\theta)^2}
\end{equation}と表すことができます。
一方、より
\begin{equation}
dr = d\theta
\end{equation}なので、
\begin{equation}
ds = \sqrt{1 +\theta^2} d\theta
\end{equation}となります。
したがって、当該部分の長さは
\begin{eqnarray}
S &=& \int_0^S ds \\
&=& \int_0^\pi \sqrt{1 +\theta^2} \, d\theta
\end{eqnarray}と表すことができます。
ここで、
\begin{equation}
\theta = \sinh t
\end{equation}と置きます。
\begin{eqnarray}
\sqrt{1 +\theta^2} &=& \sqrt{1 +\sinh^2 t} = \cosh t \\
d\theta &=& \cosh t \, dt
\end{eqnarray}
\begin{array}{|c|ccc|}
\hline
\theta & 0 & \to & \pi \\ \hline
t & 0 & \to & \sinh^{-1} \pi \\ \hline
\end{array}なので、
\begin{eqnarray}
S &=& \int_0^{\sinh^{-1} \pi} \cosh^2 t \, dt \\
&=& \int_0^{\sinh^{-1} \pi} \frac{\cosh 2t +1}{2} \, dt \\
&=& \left[ \frac{\sinh 2t}{4} +\frac{1}{2} \, t \right]_0^{\sinh^{-1} \pi} \\
&=& \left[ \frac{1}{2} \, \sinh t \, \cosh t +\frac{1}{2} \, t \right]_0^{\sinh^{-1} \pi} \\
&=& \frac{1}{2} \, \pi \cosh(\sinh^{-1} \pi) +\frac{1}{2} \, \sinh^{-1} \pi
\end{eqnarray}となります。
定積分の置換積分 - 数式で独楽する
双曲線関数の倍角の公式 - 数式で独楽する
さらにとすると、
\begin{eqnarray}
\pi &=& \sinh u \\
&=& \frac{e^u -e^{-u}}{2}
\end{eqnarray}です。式を整理します。
\begin{eqnarray}
e^{2u} -2\pi \, e^u -1 &=& 0 \\
e^u &=& \pi +\sqrt{\pi^2 +1}
\end{eqnarray}となります。これより
\begin{eqnarray}
u &=& \sinh^{-1} \pi \\
&=& \log \left( \pi +\sqrt{\pi^2 +1} \right) \\
\cosh \left( \sinh^{-1} \pi \right) &=& \cosh u \\
&=& \sqrt{\sinh^2 u +1} \\
&=& \sqrt{\pi^2 +1}
\end{eqnarray}を得ます。
よって、求める長さは
\begin{equation}
S = \frac{1}{2} \, \pi \sqrt{\pi^2 +1} +\frac{1}{2} \, \log \left( \pi +\sqrt{\pi^2 +1} \right)
\end{equation}となります。
解説
小問(1)は素直に微分すれば解けます。
小問(2)について、
\begin{eqnarray}
y &=& \log \left( x +\sqrt{1 +x^2} \right) \\
e^y &=& x +\sqrt{1 +x^2} \\
e^{2y} -2x \, e^y +x^2 &=& 1 +x^2 \\
x &=& \frac{1}{2} \, \left( e^y -e^{-y} \right)
\end{eqnarray}つまり
\begin{equation}
f(x) = \sinh^{-1} x = \log \left( x +\sqrt{1 +x^2} \right)
\end{equation}です。
逆関数の微分は微分の逆数になるのですが、積分になるとそうとも言えないのはつらいところです。小問(1)の結果が小問(2)に反映しきれていないのが少し残念に思います。
ちなみに、極形式で表されるこの曲線は、アルキメデスの螺旋と呼ばれています。
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