を、を満たす整数とする。個の整数
\begin{equation}
2^m \quad (m=0,1,2, \cdots , n -1)
\end{equation}から異なる個を選んでそれらの積をとる。個の整数の選び方すべてに対し、このように積をとることにより得られる個の整数の和をとおく。例えば、\begin{equation}
a_{4,3} = 2^0 \cdot 2^1 \cdot 2^2 + 2^0 \cdot 2^1 \cdot 2^3 + 2^0 \cdot 2^2 \cdot 2^3 + 2^1 \cdot 2^2 \cdot 2^3 =120
\end{equation}である。(1) 2以上の整数に対し、を求めよ。
(2) 1以上の整数に対し、の整式
\begin{equation}
f_n(x) = 1 + a_{n,1}x + a_{n,2}x^2 + \cdots + a_{n,n}x^n
\end{equation}を考える。とをについての整式で表せ。(3) をで表せ。
続きです。
東大 2020年 前期 理系 第4問(1/3) - 数式で独楽する
東大 2020年 前期 理系 第4問(2/3) - 数式で独楽する
小問(3)の見通し
小問(1), (2)の結果を用いると思っていましたが、多項式の定義を見ると、各種が入り乱れ、目標とするには届かなさそうです。
他に拾えるものはないか?
これまでの過程を振り返ると、の表し方が2つあることが分かります。
\begin{eqnarray}
a_{n+1,k} &=& a_{n,k} + 2^n a_{n, k -1} \tag{2.1} \\
a_{n+1,k} &=& 2^k a_{n,k} + 2^{k -1} a_{n,k -1} \tag{2.5}
\end{eqnarray}です。
式中のをに置き換えると、目標に近付けそうです。
これを用いてやってみましょう。
小問(3)の答案
小問(2)で、
\begin{eqnarray}
a_{n+1,k} &=& a_{n,k} + 2^n a_{n, k -1} \tag{2.1} \\
a_{n+1,k} &=& 2^k a_{n,k} + 2^{k -1} a_{n,k -1} \tag{2.5}
\end{eqnarray}を得ました。
式(2.1), (2.5)より、
\begin{eqnarray}
a_{n+1,k+1} &=& a_{n,k+1} + 2^n a_{n, k} \tag{3.1} \\
a_{n+1,k+1} &=& 2^{k+1} a_{n,k+1} + 2^k a_{n,k} \tag{3.2}
\end{eqnarray}を得ます。
式(3.1), (3.2)より、を消去してを残すことができます。
\begin{equation}
\left( 2^{k+1} -1 \right) \, a_{n+1,k+1} = \left( 2^{n+k+1} - 2^k \right) \, a_{n,k}
\end{equation}
よって、
\begin{equation}
\frac{a_{n+1,k+1}}{a_{n,k}} = \frac{2^k \left( 2^{n+1} - 1 \right)}{2^{k+1} -1}
\end{equation}を得ます。
講評
小問に分割している問題は、先の小問の結果を用いて後の小問を解く、というパターンが多いですが、本問はそうなっていません。
ですが、先の小問の考え方を用いて後の小問に臨むものになっています。
小問(1)では漸化式を用いて一般項を求めたのに対し、小問(2)では漸化式を用いて整式の比を整式で表しています。
文章で書かれた条件からいかにして漸化式を導くか、というのが本問の核心なのだろうと思います。
小問(3)も、小問(2)の途中経過から目的の値を導くことができることに気が付くかどうかがポイントなのでしょう。非常にひねった問題でした。