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京大 2018年 理系 第6問 その4

四面体ABCDはAC=BD, AD=BCを満たすとし、辺ABの中点をP、辺CDの中点をQとする。

(1) 辺ABと線分PQは垂直であることを示せ。

(2) 線分PQを含む平面αで四面体ABCDを切って2つの部分に分ける。このとき、2つの部分の体積は等しいことを示せ。

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続きです。

小問(2)の解答例

平面αが、辺AD上の点Rを通るものとします。(*)

なお、平面αが

  • 辺ACを通る場合、以下の文章でCとDを入れ替える。
  • 辺BDを通る場合、AとBを入れ替える。
  • 辺BCを通る場合、AとB、CとDをそれぞれ入れ替える。

とすればよく、上記(*)の仮定をしても一般性を失いません。

平面PQRは平面αそのものであり、

  • RQは直線で、辺ACの延長との交点をT、
  • PTは直線で、辺BCとの交点をS

とします。さらに、
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{AR}} &=& r \, \overrightarrow{\mathrm{AD}} \\
\overrightarrow{\mathrm{BS}} &=& s \, \overrightarrow{\mathrm{BC}} \\
\overrightarrow{\mathrm{AT}} &=& t \, \overrightarrow{\mathrm{AC}} \\
\end{eqnarray}とします。

(ii) r=0の場合

(iv) r=1/2の場合

f:id:toy1972:20200913223911p:plain:w400
式(2.6)により、
\begin{equation}
s = \frac{1}{2}
\end{equation}です。点R, Sはそれぞれ辺AD, BCの中点になります。
中点連結定理により、
\begin{eqnarray}
\mathrm{PR} = \mathrm{SQ} = \frac{1}{2} \, \mathrm{BD}, & \quad &
\mathrm{PS} = \mathrm{RQ} = \frac{1}{2} \, \mathrm{AC} \tag{4.1}\\
\mathrm{PR} \parallel \mathrm{SQ} \parallel \mathrm{BD}, & \quad &
\mathrm{PS} \parallel \mathrm{RQ} \parallel \mathrm{AC}
\end{eqnarray}となっていることが分かります。
四面体ABCDは、辺ACとBDに平行な平面PRQSに切断されることになります。

さて、切断してできる立体APRCQSは、点P, Rを通り面BCDに平行な平面で、三角柱PRUSQCと三角錐APRUに分割できます。
BCDの面積を S、四面体ABCDの高さを hとします。式(4.1)を踏まえると、それぞれの立体の体積は、
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm{ABCD}} &=& \frac{Sh}{3} \\
V_{\mathrm{PRUSQC}} &=& \frac{S}{4} \frac{h}{2} = \frac{Sh}{8} \\
V_{\mathrm{APRU}} &=& \frac{1}{3} \frac{S}{4} \frac{h}{2} = \frac{Sh}{24}
\end{eqnarray}となります。
よって、求める立体の体積 Vは、
\begin{equation}
V = \frac{Sh}{8} + \frac{Sh}{24} = \frac{Sh}{6} = \frac{1}{2} \, V_{\mathrm{ABCD}}
\end{equation}となります。

(v) まとめ

以上、(i)~(iv)項により、線分PQを含む平面αで四面体ABCDの体積を2等分することができることが示されました。

小問(2)、(iv)の場合の解説

こちらも、メネラウスの定理が使えない形です。
解説例にあるように、ねじれの位置にある2辺に平行な平面で四面体を切断することとなります。
できた立体は両底面が平行でない三角柱ですが、落ち着いて見ると体積を容易に求められる三角柱と三角錐に分割できることが分かるでしょう。