数式で独楽する

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複素数値関数の直交

複素数値関数 A(x), B(x)の「直交」とは、
\begin{equation}
\langle A(x), B(x) \rangle = \int_a^b \overline{A(x)} B(x) \, dx = 0
\end{equation}となることをいいます。
つまり、内積が0となることをいいます。式中のオーバーラインは、複素共役(共軛)を意味します。

共軛複素数 - 数式で独楽する
複素数値関数の内積 - 数式で独楽する

ベクトルの直交との比較を見ていきます。
ベクトルの内積 - 数式で独楽する

 n次元のベクトル \boldsymbol{A}, \boldsymbol{B}
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{A} &=& A_1 \boldsymbol{x}_1 + A_2 \boldsymbol{x}_2 +\cdots + A_n \boldsymbol{x}_n \\
\boldsymbol{B} &=& B_1 \boldsymbol{x}_1 + B_2 \boldsymbol{x}_2 +\cdots + B_n \boldsymbol{x}_n
\end{eqnarray}とします。ここで \boldsymbol{x}_1, \boldsymbol{x}_2, \cdots , \boldsymbol{x}_n n次元の単位ベクトルで、互いに直交します。

このとき、ベクトルが直交するとき、内積 \boldsymbol{A} \cdot \boldsymbol{B}
\begin{equation}
\boldsymbol{A} \cdot \boldsymbol{B}
= \boldsymbol{A}^* \boldsymbol{B}
= \overline{A_1} B_1 + \overline{A_2} B_2 + \cdots + \overline{A_n} B_n = \sum_{i=1}^n \overline{A_i} B_i =0
\end{equation}となります。
式中の「*」は、共軛転置(随伴)を意味します。なお、ベクトルは列で記述しています。


このように、関数の直交は、ベクトルの直交と類似の考え方となっていることが分かります。
ただ、関数の直交と言っても直交がイメージできるわけではなく、内積が0であることをもって「直交」しているのだと考えるのがよいでしょう。